「リニア名古屋駅」2度目の工事現場公開は在来線 寝台特急「サンライズ」が脇を通過
JR東海が名古屋駅に計画している「リニア地下駅」の工事現場を5か月ぶりに公開。しかし公開されたのは地下ではなく、地上を走る在来線の工事現場。寝台特急や貨物列車が脇を走るなか、あるものを設置する作業が黙々と進められました。
クレーンと橋桁が横にスライド
JR東海は2019年8月8日(木)未明、名古屋駅でリニア中央新幹線の工事現場を報道陣に公開しました。同駅でのリニア工事の公開は、東海道新幹線の高架下(3月)に続き2度目です。
中央新幹線の名古屋駅ホームは、東海道新幹線と在来線の線路に直角で交差するような形で地下に建設されますが、今回公開された工事現場は在来線ホームの北側。1・2番線ホームでしばらく待っていると、長さ約13mの橋桁とクレーンを載せた工事車両が、隣の3番線に現れました。
続いて、隣接する2番線に橋桁を設置する作業がスタート。設置スペースには杭(くい)があらかじめ打ち込まれており、レールなども撤去済みです。まず、工事車両の脇に延びる仮設の線路を設置。重さが約23tある橋桁をつり下げたクレーンが、この仮設線路をスライドするようにして2番線へ移動しました。その後、クレーンから橋桁が降ろされて設置が完了。工事車両が駅に入ってきてから1時間ほどかかりました。
東海道新幹線は高架橋ですが、在来線の線路は土砂に支えられる形で敷かれているため、地下を掘るには在来線の線路を支えるものが必要です。そこで、在来線のレールを橋桁に載せ替え、鉄橋と同じ構造に改修。橋桁は橋脚に相当する杭で支えられるため、周囲の土砂を取り除いて地下ホームを建設できるようになります。同様の工事は、東海道新幹線の線路に並行して地下ホームを建設する品川駅でも行われています。
工事の最中、1番線と4番線を貨物列車が頻繁にやってきて通過し、午前2時半ごろには寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」も姿を現しました。新幹線と異なり深夜も営業列車が多数運行されているため、線路によっては作業時間が2時間くらいしか取れないことも。JR東海愛知工事事務所の加藤 均所長は「在来線部分は確保できる時間や環境などに応じて、工事方法を変える必要があります」と話していました。
JR東海によると、設置される橋桁の数は73本で、このうち12本が設置済み。今回の設置で13本になりました。残りの60本は2020年度中に設置を完了する予定。2027年には中央新幹線の品川~名古屋間が開業する見込みです。
【了】
Writer: 草町義和(鉄道ニュースサイト記者)
鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。
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