フェリーではなぜテーマソングが流れるのか 地元に浸透、進化系も登場する背景
テレビCMで地元に浸透
このようなフェリーのテーマソングは、テレビCMと切っても切れない関係があります。『さんふらわあの唄』などは現在も西日本を中心に「さんふらわあ」のテレビCMで使われていますが、およそ30年前、瀬戸大橋が開通する以前に筆者(宮武和多哉:旅行・乗り物ライター)が住んでいた四国地方では特にフェリーのCMが盛んで、『さんふらわあの唄』や、キダ・タローさん作曲の『淡路フェリーの歌』など、何社ものテーマソングが流れていました。
当時は複数のフェリーが競合しており、そのなかでキャッチーなテーマソングは、自社路線を多くの人に覚えてもらうための手段のひとつだったわけです。
テレビCMで有名なフェリーのテーマソングとしては、高松~神戸航路「ジャンボフェリー」の『二人を結ぶジャンボフェリー』が挙げられるでしょう。「風が恋を運ぶ 海を遠く渡り」という歌詞で始まるこの歌のテーマはズバリ「海を隔てた遠距離恋愛」です。
この路線では、高松港を深夜1時に出航する夜行便が運航されており、高速バスなどを使うよりも長く日帰り滞在できることから、遠距離恋愛のカップルへの割引なども定期的に実施されています。その姿勢が、テーマソングにも打ち出されているのです。
熟睡している客を起こすためには、大音量で流す必要がありますから!