「鉄道旅行の撮影術」発想と工夫、思い出がよみがえる撮り方 鉄道写真の形はいろいろ

車窓を撮る

 車窓も大好きな被写体のひとつです。写真7はJR函館本線の内浦湾の車窓です。乗っていたのは冷房のないキハ40系ディーゼルカーで、暑い夏季だったので窓を開けて涼を取っていました。北海道のキハ40系も老朽化から置き換えが検討されており、「いつこんな旅ができなくなるか分からない」と思い、撮影した一枚です。線路から海までは少しスペースがあったのでカメラの位置を下げて、海と空、窓枠だけが写るようにしています。

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写真7。車窓に広がる内浦湾(村上悠太撮影)。

 ここまで紹介してきた写真はすべて一眼タイプのカメラで撮影したものです。最近のスマートフォンのカメラやそれに付随する画像処理機能は非常に高性能で、鉄道をきれいに撮影することも可能になってきました。そのため「なんでカメラにこだわるの」と質問を受けることもあります。その答えは「きれいに撮影できて様々な表現を使って撮影意図を写真に反映できるから」です。

 ここで紹介した写真のように、望遠レンズによる撮影やボケ味、光の陰影の表現、ブレ量の調整などを考えると、スマホより大きなセンサーやレンズを搭載しているカメラで撮影する方が圧倒的に簡単で美しく残すことができます。だから僕はカメラでの撮影にこだわっています。また、レンズ交換を行えば多彩な撮影に対応することもできます。現行の機種はどれもWi-Fiなどで撮影した画像をすぐにスマホに転送することもでき、本格的に撮影した画像をすぐにSNSで発表することも可能です。

 発想と撮影時の工夫で、より美しい旅スナップにみなさんもチャレンジしてみませんか。

【了】

【写真】海に続く鎌倉高校前の踏切

Writer: 村上悠太(鉄道写真家)

1987年生まれでJRと同い年、鉄道発祥の地新橋生まれの鉄道写真家。車両はもちろん、鉄道に関わる様々な世界にレンズを向ける。元々乗り鉄なので、車でロケに出かけても時間ができれば車をおいてカメラといっしょに列車旅を楽しんでいる。日本鉄道写真作家協会会員、キヤノンEOS学園講師。

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