「ファントムII」の血を継ぐ垂直離着陸戦闘機 「ハリアー」超えを狙った米国機の顛末

1960年代、アメリカ海軍は、低コストで運用可能な小型空母を計画します。そこで、狭い甲板でも運用可能な戦闘機として、超音速飛行可能なXFV-12垂直離着陸戦闘機もセットで開発することにしたのですが、理論と時代に翻弄されました。

思ってたんと違う…

 こうして、1972(昭和47)年に開発計画はスタート、ロックウェル社とコンベア社のコンペの結果、前者が勝利しました。ただし開発費用を抑えるために、既存のF-4「ファントムII」戦闘機やA-4「スカイホーク」攻撃機の部品を流用することとなりました。

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1973年、ロックウェル社の工場で初公開されたXFV-12のモックアップ模型(画像:アメリカ海軍)。

 モックアップ(実物大模型)は1973(昭和48)年に公開され、1977(昭和52)年8月に試作機も初披露されています。しかし、クレーンに吊るして推力テストを行ってみると、理論値には全然届かず、エンジン出力のわずか6%から20%弱しか推力として出ていないことが判明、半年間、試験を行ったものの初飛行には至りませんでした。

 原因は構造上の問題で、パワー不足によるものでした。しかも機体サイズとの兼ね合いから、エンジンを強化すれば解決できるというものでもありませんでした。

 その後もプロジェクトは続けられましたが、セットで研究されていた「制海艦」構想の方が、正規空母と比べてそれほど費用対効果に優れているといえないと海軍内で結論付けられ計画中止となったことで、制海艦に載せる垂直離着陸戦闘機の必要性もなくなり、XFV-12は試作機2機が作られただけで1981(昭和56)年に開発が中止されます。

 結局、XFV-12は1度も空を飛ぶことはなく、しかも作られた2機の試作機も1984(昭和59)年には解体されてしまいました。初飛行すらできなかったため、XFV-12は垂直離着陸機としては無名ですが、根底には偉大なるF-4「ファントムII」戦闘機の血が流れており、ファントムファミリーの一員といえなくもありません。

 ちなみに、コクピットなど機体の一部は、オハイオ州にあるNASA(アメリカ航空宇宙局)の研究施設「プラム・ブルック・ステーション」に保管されているとのことです。もしかしたら、将来的には復元されて展示されるかもしれませんね。

【了】

【写真】かなり独特な後ろ姿。ジェットエンジン単発のXFV-12

Writer:

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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コメント

3件のコメント

  1. 見た目で飛びそうにないモノはやっぱり飛ばないというのを体現した非飛行機ですね

    空力中心どこにあるんだか

  2. アナルプラグ刺されてるね確実に

  3. ハリアーは英国面がなせる技。

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