高輪ゲートウェイ駅の「ゲートウェイ」は何なのか 背景にJR東日本の社運を賭けた事業

JR東日本が都市開発に乗り出す理由

 なぜ、JR東日本は都市開発にチャレンジするのでしょうか。2018年に発表されたJR東日本グループ経営ビジョン「変革2027」の冒頭には、今後の経営環境の変化に対する大きな不安がつづられています。

 たとえば人口減少です。東京圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)の人口は当面、微増ないし横ばいが続く見通しですが、同社の事業エリアの過半を占める東北地方(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)では、2040年までに3割近くの人口減少が見込まれています。

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高さ制限が1.5mと低いJR線の高輪橋架道橋も再開発により近く見納めに(2018年9月、枝久保達也撮影)。

 また2020年以降、働き方の変化やネット社会の進展、自動運転技術の実用化などにより、鉄道による移動ニーズの縮小が想定されます。この結果、鉄道事業の利益が急激に減少し、東京圏の利益でエリア全体を支えられなくなるリスクがあります。そこでJR東日本は、2027年までに関連事業の売上比率を現在の3割から4割まで引き上げたいとしています。

「グローバルゲートウェイ 品川」に求められるのは、今後、日本に限らず世界各地で展開が可能な国際水準のまちづくりです。にぎわいのある広場・歩行者ネットワーク、MICE(会議、学会、見本市など多くの集客が見込まれるビジネスイベント)・オフィス施設、商業・文化施設、外国人向け住宅など、世界から注目される最先端の都市基盤・機能・環境を整備します。

 また、この街はJR東日本グループが挑む「新施策のショーケース」と位置付けられ、水素社会への取組み、新駅での鉄道と二次交通の連携、スタートアップ支援、新たなアイディアを試すラボ機能など、同グループのリソースを活用し、社会の変化に対して、様々な提案ができる空間になることが期待されており、文字通り、社運を賭けたプロジェクトになるというわけです。

【了】

【地図】高輪海岸を走る東海道本線

Writer: 枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)

1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx

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コメント

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3件のコメント

  1. 海もあんまり見えないのにゲートウェイはよくない。せめて令和にしたほうがいい。無理なら、住所を"東京都品川区令和"にするとよい。

  2. 最初から決定事項だったのに駅名を一般公募した理由については?

  3. 専門用語を並べて押し付けただけだろ

    これほんとに記事?