関西でおなじみグランシャトー そこは駅だった 鉄道で分断されていた大阪・京橋の過去
線路が地上から消えた後も、変わりゆく京橋の街
京橋駅が消え、駅ビルが取り壊されるとともに、東西に伸びていた線路は道路となりました。いまでは通りに居酒屋や焼肉屋や遊興施設が立ち並び、すっかり「大人の遊園地」のような街が出来上がっています。夜ごとにご機嫌な酔客たちも、ここに京橋駅や激しく混む踏切があったことなど想像もつかないことでしょう。
幾重にも街をさえぎっていた線路も、京阪本線の高架化を皮切りに、JR片町線(学研都市線)の地上区間(京橋~片町)や貨物線の廃止などによって地上からほとんど姿を消しました。かつての京橋駅や京阪本線は、緩やかにカーブを描く道路やJR京橋駅の下をくぐっていたガード(正式名称は「京阪電鉄交叉橋」)などに、その名残を見ることができます。
なお、京橋の街は2025年の大阪万博に向け、一部地域で大きく形を変えようとしています。そのようななかでも、「グランシャトー」は駅があった場所に立ち続け、大きく変わることなく間もなく開業50周年を迎えようとしています。繁華街を貫いていた線路跡を歩いたあと、駅跡の「グランシャトー」5階のサウナでさっぱり汗を流してもよいかもしれません。
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Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)
香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。
「グランシャトー」のCMなんて深夜だけでほとんど放映されていないし、いまどき知ってる人も少ないと思う。アウェイならこと細かく確認してから書けとまでは言わないが、誰でも知っているというのはいまどき過言と言える。