「速さ」にステータス全振り ソ連MiG-25戦闘機の割り切り 函館にも来たスピードキング

速すぎるとボディが溶ける! MiG-25はどう克服?

 マッハ3もの速度になると、機体の前縁で圧縮された空気が大変な高熱を生み出します。これは「熱の壁」などと呼ばれることがあり、大気圏再突入時に発生する高熱と同じ理屈です。熱の壁は飛行機にとって大きな問題となります。飛行機の構造材として広く使われているアルミ合金の融点を超えうるからです。

 アルミ合金は、軽くて丈夫でしかも加工しやすく安いという、飛行機の構造材としてはうってつけの金属です。しかしMiG-25は、その速度を実現するのに避けられない「熱の壁」の問題のためアルミ合金を使えません。その解決策として「鋼鉄」を使いました。鉄はアルミに比べ熱に強い反面、アルミと同じだけの強度を得るためには倍以上の重さぶんの量が必要となってしまいます。飛行機に対して「あんな鉄の塊が飛ぶなんておかしい」というジョークがありますが、鉄はデメリットが大きいため、実際に鉄を主要な構造材とする飛行機はほぼ皆無です。

 MiG-25は鉄によって熱の壁を解決しましたが、その結果として空気の薄い(抵抗の小さい)高高度へ上昇し、そして速く飛ぶ以外のすべてを捨てた、最大離陸重量40tを超える超大型戦闘機となりました。当然エンジンなども高高度の高速飛行に最適化されており、燃費は最悪です。大きな機体にものを言わせ、F-15「イーグル」の3倍近い14tもの大量の燃料を搭載しているにも関わらず、航続距離2575kmはF-15を下回ります。

【写真】土中から発掘されたMiG-25

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コメント

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1件のコメント

  1. 平和な今に走るクルマだって性能向上を図ってる。
    自国の生死を争う兵器は、自国の正義に懸けて、モチロンあわよくば買い手が付けば、自国の外貨獲得にもなるんだから必死だよね。
    アメリカやロシアや中国も必死ださぁ