ロシア最新鋭戦闘機「Su-57」墜落 ロシア初本格ステルス機の量産初号機 配備に影響か

Su-57は欠陥機か?

 今回の墜落事故を受けて、大規模量産の前倒し自体が再び見直され、延期される可能性も十分に考えられますが、計画遅延や墜落の事実をもってSu-57が欠陥機であると断定することはできません。開発段階の墜落事故は全く珍しくなく、例えばユーロファイターやF-22、グリペン(2機)といった戦闘機も墜落しており、ロシア軍はじめ世界各国で運用されているSu-27戦闘機も同様でした。Su-57という航空機の開発自体が中止になることはほぼ考えられません。

 開発計画が二転三転することは、もはや戦闘機開発の「恒例行事」です。たとえばF-35は開発中に1度も墜落せず、引渡し数が400機を超えた現在も機械的要因による墜落はわずか1件のみという、稀有な安全性が実証されている機種ですが、2006(平成18)年の初飛行以降、何度もスケジュール遅延に見舞われました。2015年に限定的な能力で実用化に達し、そして2018年にようやく初期開発段階が終了、完全な実働体制に入りました。

 戦闘機開発において「産みの苦しみ」は避けられません。Su-57の熟成にはまだ長い時間が必要であることだけは確かだといえます。ロシアは今後Su-57をどのように扱っていくのか、事故が計画にどのような影響を与えるのか、その動向に注視していきたいところです。

【了】

【写真】スホーイの戦闘機といえば「フランカー」 その原型機

Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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