イランはなぜ軍隊がふたつ? 国軍とは別に陸海空戦力を揃えるイスラム革命防衛隊とは
2020年1月に暗殺されたイランのソレイマニ将軍が指揮していた「イスラム革命防衛隊」は、イランの軍隊ですが、いわゆる「イラン国軍」ではありません。どのような事情で国のなかに軍隊組織がふたつあるのでしょうか。
緊張高まるイラン情勢 ところで「革命防衛隊」とは?
2020年1月8日に発生したイランの「イスラム革命防衛隊」による、ウクライナ国際航空752便旅客機誤射・撃墜事件、同日の革命防衛隊によるイラク駐留アメリカ軍基地へ対する地対地ミサイル攻撃、さらに1月3日のアメリカ軍による革命防衛隊ソレイマニ将軍暗殺作戦などなど、昨今アメリカとイランを中心とした中東情勢の緊張が高まりつつあります。
1970年代までアメリカとイランの関係は極めて良好でした。しかし1979(昭和54)年に発生したイラン革命によって、親米政権であったイラン帝政が倒れます。新しく成立したイラン・イスラム共和国は、外交官の地位を定めたウィーン条約を無視し、在イラン・アメリカ大使館を1年以上にわたり占拠するなど反米的な姿勢を堅持、その後40年にわたりアメリカとイランは度々の軍事衝突を含む対立を繰り返しています。
2020年初頭に発生した各事件において当事者となった「イスラム革命防衛隊」とは、広義におけるイランの軍隊に相当する政府機関です。しかし厳密に言うならば、革命防衛隊は軍ではありません。
イランには「イラン・イスラム共和国軍」と称するもうひとつの軍隊に相当する政府機関があり、単にイラン軍とする場合、通常は共和国軍を指します。また、革命防衛隊と共和国軍はそれぞれ独立した指揮系統を持つ、完全に別の組織です。
なぜイランには、ふたつの軍隊があるのでしょうか。
コメント