ガンダム「ミデア」のようなコンテナ式飛行機 なぜ実現せず? 米空軍XC-120試作で終了

飛行機は失敗するもヘリコプターでは成功

 しかし、最先端だったはずのXC-120は試作機1機のみで終わります。それは飛行機ならではの理由からでした。

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重量物運搬用ヘリコプターのCH-54「タルへ」。胴体中央部に取り外し可能なコンテナ式モジュールを付けている(画像:アメリカ陸軍)。

 というのもカーゴポッドの有無や形状違いで、空気抵抗や気流が大きく変わり、飛行特性に大きな変化が生じることが問題でした。特に外して飛行した際は劣悪だったそうで、あえなく開発計画は終了となりました。

 ちなみに、同じ発想の航空機でもヘリコプターは成功しています。シコルスキーが開発したS-64「スカイクレーン」という機体で、XC-120が初飛行してから12年後の1962(昭和37)年5月9日に初飛行し、アメリカ陸軍もCH-54「タルへ」として105機を採用しました。

 軍用のCH-54「タルへ」は退役したものの、民間型のS-64は、メーカーこそ変わりましたが現在も生産が続いており、重量物運搬や消防ヘリとして世界中で使用されています。

 ヘリコプターは飛行機よりも飛行速度、飛行高度ともに低いから成功したのでしょう。それでも、やはり運搬物の形状や有無によって飛行特性が変わるため、操縦は普通のヘリコプターよりも難しいそうで、世界的に普及するまでには至っていません。

【了】

【写真】飛行特性は劣悪 カーゴポッドなしで飛ぶXC-120

Writer: 柘植優介(乗りものライター)

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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