「樽」と呼ばれた戦闘機 サーブ29「トゥンナン」 しかしなかなか高性能 その戦果とは

冷戦期、ソ連の軍用機につけられた西側呼称、いわゆる「NATOコード」には、カッコよさとは対極のひどいものが多いですが、ここにメーカー自ら「樽」と呼んだ戦闘機があります。サーブ29「トゥンナン」、どのような機なのでしょうか。

サーブ29「トゥンナン」実はマルチロールファイターの先駆け

 当時アメリカや旧ソ連といった大国は、任務ごとに最適化された各種の軍用機を運用していましたが、そうした大国に比べれば国力の小さいスウェーデンには複数の軍用機を開発、運用する余裕はありませんでした。

 そこでサーブ29は、ひとつの原型から3つのタイプが開発されています。すなわち、機首部に20mm機関砲を搭載した空対空戦闘機型の「J29」、機関砲の代わりに偵察用のカメラを搭載した「S29」、対地攻撃機型の「A29」です。

 現代の戦闘機は、空対空戦闘も対地攻撃攻撃も偵察もこなせる「マルチロールファイター(多用途戦闘機)」が主流となっていますが、ひとつの原型機から複数の任務に対応する航空機を作り出すことに成功したサーブ29は、戦闘機のマルチロール化の可能性を開いた、革新的な航空機であったといえます。

 スウェーデンは、19世紀からEU(ヨーロッパ連合)に加盟する1995(平成7)年まで中立政策を採用しており、中立政策を事実上放棄した後も、一度も他国との戦争を行なっていませんが、にもかかわらずサーブ29は実戦に参加しています。

 1960(昭和35)年、ベルギーの植民地であったアフリカのコンゴはコンゴ共和国(現在のコンゴ民主共和国)として独立しましたが、独立直後に南部カタンガ州がコンゴ共和国からの分離独立を宣言し、さらに国内での権力闘争も起こったことで、同国は大混乱状態に陥っていました。

 国際連合は事態を打開するため、国連平和維持軍(コンゴ国連軍)を派遣することを決定し、スウェーデンに協力を要請。スウェーデンは要請に応じて、1961(昭和36)年9月28日にサーブ29を運用する第22飛行隊を編成して、コンゴに派遣しました。

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