「樽」と呼ばれた戦闘機 サーブ29「トゥンナン」 しかしなかなか高性能 その戦果とは

冷戦期、ソ連の軍用機につけられた西側呼称、いわゆる「NATOコード」には、カッコよさとは対極のひどいものが多いですが、ここにメーカー自ら「樽」と呼んだ戦闘機があります。サーブ29「トゥンナン」、どのような機なのでしょうか。

実戦投入されたサーブ29「トゥンナン」 結果は…?

 第22飛行隊の派遣から3か月後の1961年12月に行なわれた、カタンガ独立勢力の基地に対する攻撃に参加した「トゥンナン」の戦闘機タイプJ29は、最初の6日間で150時間の作戦飛行を実施し、作戦に参加した9機のうち8機が対空砲火による損傷を受けながらも、ロケット弾による攻撃などで大きな戦果を挙げています。

 さらに、天候の不順なコンゴは航空偵察が困難な戦場だとみなされていましたが、偵察タイプのS29は地上目標の偵察と写真撮影でも成果を挙げ、地上部隊の作戦の遂行を大いに助けたといわれています。

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サーブ29「トゥンナン」の機体下方より。初飛行した1948年当時、その後退翼は最先端の技術だった(画像:Stefan Holm/123RF)。

 コンゴ国連軍には、エチオピア空軍が派遣したF-86F「セイバー」戦闘機なども参加していましたが、劣悪な環境下で短期間にて作戦での運用終了を余儀なくされていました。これに対しサーブ29は1963(昭和38)年まで活動を継続し、着陸時の事故で1機が失われたものの、戦闘による損失はゼロで任務を完了しており、タフさと能力の高さを世界に示しました。

 兵器の輸出では、実際に戦闘に臨んだ際の好成績が有利に働くことが多いのですが、コンゴで大きな結果を残したサーブ29は、同じ中立国であるオーストリアに30機が輸出されたにとどまりました。

 輸出市場でサーブ29が成功できなかった最大の理由は、東西冷戦の真っただなかだった当時、中立国であったスウェーデンから戦闘機を導入することにメリットを感じた国が少なかったためであって、決してF-86FやMiG-15に比べていまいちカッコよくなかったからではなかったことを、隠れた名機であるサーブ29のためにお断りしておきます。

【了】

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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