飛行機の機首部分にある「ヒゲ」は何ぞや 実は飛行の要「ピトー管」とは?

安全直結の「ピトー管」 使用済みのものが売られることも

 なお、F1カーでもピトー管を用いての対気速度計測は行われていますが、走行中の風の影響を調査する目的のそれに対し、飛行機のピトー管の役割は「飛行の要」と呼んでも差し支えないほど重要なものです。

 ピトー管がトラブルを起こすと、最悪のケースとして、いわばスピードメーターが壊れた状態での飛行を余儀なくされます。クルマなどは、止まればひとまず安全は確保されますが、飛行中の機体はそうはいきません。遅すぎれば失速し、速すぎれば機体が壊れてしまう可能性があります。

 このピトー管にハチの巣ができたり、凍り付いたりしたことが原因のひとつとされる航空事故も過去に発生しており、いかに安全に直結した重要度の高いパーツであるかがうかがえます。

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A350-900型機。JAL機で、塗装が真っ白なことからピトー管が目立つ(2019年、伊藤真悟撮影)。

 ちなみにこのピトー管、ごくまれにではあるものの、使用済みのものが売りに出されています。たとえば2015(平成27)年、ANA(全日空)の公式通販サイト上で、整備の際に取り外されたボーイング737-500型機、777型機およびエアバスA320機などのピトー管が計10点、1点あたり19万8000円で計10点販売されていたことがあります。このほか、成田空港に隣接する航空科学博物館(千葉県芝山町)で行われている「ジャンク市」に、過去に売られたこともあるそうです。

【了】

【図】ピトー管と対気速度計の関係性

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