【空から撮った鉄道】東京の路面電車 「都電」の車庫と併用軌道区間

かつて東京都の都心部や下町に張り巡らされた東京都の路面電車「都電」は、最盛期に40系統もありました。現在、唯一残るのは三ノ輪橋~早稲田間を結ぶ荒川線です。今回は、荒川車庫前付近と併用軌道の飛鳥山付近をお見せします。

「都電」を初めて空撮したのは2012年の初夏

 東京都電車、略して「都電」は、東京都が運営する路面電車です。最盛期の昭和30年代は40の系統があり、都心部や下町などに路線網が発達していました。私の親の世代は「銀座へ行くのは何番に乗ればいい」と今でも覚えていて、あの頃は都民の生活に都電が浸透し、系統番号で呼ばれるのが日常だったのだなと想像できます。

 というのも、私が生まれた1977(昭和52)年は既に荒川線以外の路線が廃止となっており、「都電=荒川線」という感覚だからです。系統番号で呼ばれていた時代を知らないので、何番と言われてもピンときません。そういえば、荒川線も1974(昭和49)年に27系統と32系統が合体して誕生しました。

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垂直撮影した荒川車庫(荒川電車営業所)。南側を荒川線が通り、直角にカーブして電車が入出庫する。荒川車庫前電停の降車専用ホームからは、三ノ輪橋方面行きの列車が画面右側の乗車ホームへと移動する(2012年5月10日、吉永陽一撮影)。

 さておき。荒川線三ノ輪橋~早稲田間は、下町情緒たっぷりの街並みをいきます。路面電車ではあるけれども専用軌道区間がほとんどで、自動車と混在して走る併用軌道区間は僅かです。とくに飛鳥山~王子駅前間の明治通りにある併用軌道区間は荒川線でも指折りの撮影スポットで、荒川線を撮ろうとしたらまずこの区間は訪れるでしょう。上空ではどうかというと、全区間とも絵になりますけど、やはり併用軌道は外せません。この場所では何度もシャッターを切っています。

 荒川線は2012(平成24)年から空撮しています。全区間を一気に撮影するのではなく、移動の合間やピンポイントに場所を決めて空撮し、いくつものシーンに出会ってきました。そこで今回は初の撮影である2012年、場所は荒川車庫(荒川電車営業所)と併用軌道に絞って紹介します。

 撮影は新緑の眩しい5月です。『空鉄』本の制作で路面電車の車庫と併用軌道を載せようと、撮り下ろすことになり、都内東部を空撮した後に都電へ向かいました。

 まずメインの荒川車庫です。JR東日本の尾久車両センター東側の住宅地に四角い敷地と二階建て相当の建屋があって、それが都電の車庫でした。遠目に見たら区民体育館かと思うほどシンプルな建物です。

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

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