霞んでゆく新型旅客機「ボーイング797」計画 なぜ開発断念濃厚? その概要や経緯

ライバル機がデビューするも見直しを余儀なくされた理由

 もっとも大きな理由は、ボーイングのロングセラー機である737シリーズの最新モデル、737MAXが相次いで同じ原因と見られる航空事故を起こしてしまったことです。それらは失速を防ぐ「自動失速防止システム(MCAS)」が誤作動してしまい、パイロットの意に反した挙動をとってしまったことが原因といわれています

 先出のランディ・ティンゼスマーケティング担当副社長も、「まずは737MAXの問題を解決したのち『NMA』について検討することになる」としていましたが、結果、737MAXの生産を2020年1月から一時停止することになり、前CEOもその責任を負い交代を余儀なくされるという事態におちいります。

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NMA計画縮小の一因といわれているモデル、737MAX(画像:Jeroen Stroes Aviation Photography[CC BY-SA〈https://bit.ly/2xmm7eG〉])。

 そしてそののち就任したデビッド・カルホーンCEOは早々に、737MAXで問題となった操縦システムを見直す必要性が生じたことや、それまでの市場環境の変化などを理由に「NMA」をいったん白紙に戻す方針を明らかにしています。

 そしてこの白紙状態をより深めたのが、2020年2月ごろから世界的に広がった新型コロナウィルスの感染拡大の影響です。航空業界はこの影響を大きく受け、旅客の需要は大きく減退、カルホーンCEOは、現地時間4月27日(月)に株主総会で、感染拡大以前の航空需要まで戻るには数年の時間が必要であることを現地メディアに明かしています。これにより一層、737MAXの問題をいち早く解決し、生産や運航を続けることに注力する一方、NMA計画が改めて動き出す見込みはますます薄くなったといえるでしょう。

 なお、737MAXシリーズにはこれまでの737シリーズのなかでは最長の胴体と、最大の席数をもつ、737-MAX10型機もラインナップされており、先述の問題がなければ2020年内にもデビューする予定でした。その席数は188席から230席とされています。

【了】

※一部修正しました(6月11日10時20分)。

【写真】覗く複雑な配線 実は飛行中もタイヤむき出しの737型機

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コメント

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6件のコメント

  1. > 短通路
    校閲しないの?酷いもんだね。

  2. 短通路、一部修正された様ですがまだ残ってますね。
    最近の記事、毎日誤変換が見つかるんですが・・・とりあえず落ち着いて見直したほうが。

  3. まだ短通路って残っててウケる
    Ctrl+Fで検索してみろよ編集部さんよ
    インターネットメディアだから、後から誤魔化せると思って適当に校閲してるのか知らないけど、それならニュースって名乗るな。
    修正したなら本文最後に変更履歴残しとけ。

  4. 単通路、複通路両方の機を総称して「B797」にするんですね。同じ型なのに単通路型のB757(日本採用なし。但し日本への飛来実績は普通にある)、複通路型のB767(日本だとJAL、JAA、JTA、ANA、スカイマーク、AirDo(ANAのお下がり)で採用、現行はJALとANAで就航)とバラバラにしてたのを一つにまとめた形ですかね。B737MAXとB787の間の機体ですか。まさしくB767(757)シリーズの後継機種ですな。
    ま、日本でのB757不採用やB767の扱い見れば(航空需要高まる中状況ですらスカイマークやAirDoが会社の経営状況にもよったけどB767手放したり……)そりゃ霞むわな……なクラスでもあったりは……。

  5. NCASではなくMCAS。

    • ご指摘ありがとうございます。修正しました。