飛行機の翼に生い茂る「細い棒」 何のために生えている? 「ジャンボ」だと50本以上

旅客機の翼の細い棒 なかったらどうなるのか

 飛行機から電荷を逃がすこと、すなわちスタティック ディスチャージャーの最大の目的は、コックピットでパイロットが地上との交信などで使っている無線通信の雑音を減らすことです。

 スタティック ディスチャージャーがない場合、溜まった電荷は、機体の表面や翼の端の部分などから、発光をともなう音の少ないタイプの放電現象、いわゆる「コロナ放電」が起きやすい状態となります。この放電の際に発生する電磁波の周波数には、航空無線で用いられる周波数帯が含まれているため、これが無線交信時の雑音を発生させる要因になります。

 そこでスタティック ディスチャージャーを航空無線に支障がない位置に設け、通信をはじめとする、フライトに影響がないよう、電荷の流れをコントロールしているのです。

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ボーイング787の尾翼部分。水平尾翼の後端にもスタティック ディスチャージャーが見られる(2018年、恵 知仁撮影)。

 ちなみにスタティック ディスチャージャーがあっても、気象条件などによっては機体表面にコロナ放電が発生するケースもあります。ごくまれにこの放電の発生した部分が、まるで青白い光が包み込むように見え、この事象は古代の神話になぞらえて「セントエルモの火」と称されます。

【了】

【画像】「セントエルモの火」に包まれた「ジャンボ」

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