新型コロナ禍で貨物型エアバスA380デビューへ 貨物型「ジャンボ」B747Fと比べると…?

大きさでは劣るも強いボーイング747 エアバスA380とどこが違う?

 「ジャンボジェット」ことボーイング747Fシリーズの大きな強みは、その馴染み深いユニークな形状にあります。

 実は747シリーズは、1960年代の初期型開発の時点ですでに、将来的に貨物機として使うという計算のもと、軍用輸送機をベースに胴体がデザインされています。その工夫のひとつが、シリーズの特徴である、前方に一部設けられた2階席「アッパーデッキ」の先端部分にコックピットを設け、1階席のレイアウト自由度を高くするといったものです。

 そうしたデザインから747Fシリーズは、コックピット下の機首先端が、まるで口のように大きく上に開く「ノーズカーゴドア」であり、大きな特徴になっています。これにより、かさばる荷物もスムーズに積みこめる点が、2020年現在も747Fシリーズが使われ続ける理由のひとつでしょう。

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NCAの「ジャンボ貨物機」ボーイング747-8F(2018年、恵 知仁撮影)。

 そして同機のもうひとつの大きな特徴が、A380型機より重いものへの耐性が高いことです。ボーイングは747Fシリーズの最新型、747-8F型機について、エアバス側で計画されていたA380型の貨物型と比べ、1立方メートルあたり約25kg重くても輸送が可能としています。つまりA380型機の貨物型は、たとえ747-8F型機より大きくとも、可搬重量の面でその巨大なスペースをフル活用できない場合がある、というわけです。

 とはいえ、たとえば新型コロナウイルスで需要が高まるマスクやフェイスシールド、防護服といった医療品関係は、占有スペースの割に軽量というものも一般的です。2020年2月、ANA(全日空)が成田~上海間にて、おもに医療品や郵便物などを搭載したボーイング777F型機の臨時貨物便を運航した際、面積ベースでは満載だったものの、重量ベースとしては最大の40%ほどでした。

 航空貨物便は、必ずしも重い荷物ばかりというわけではないので、こういったケースでは、巨大なスペースをもつA380型機の実力がフルに生かされるといえるでしょう。

【了】

【写真】荷物の積み下ろし方もユニークな「ジャンボ貨物機」

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コメント

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4件のコメント

  1. 今商機に、貨物専用機は、747だけでなくA380まで貨物専用機が。

  2. とうとうA380も貨物機出ちゃうもんね("⌒∇⌒")

  3. Lufthansa technikにて改修中のA380は余剰旅客機の貨物搭載能力向上型であり胴体側面にSide Cargo Doorが取りつきません。貨物ドアを備える改修にはSTC取得に数年間掛かるので不可能でtemporary operational changeが限度になります。貨物パレット、コンテナを搭載できない以上、貨物専用機として設計された747Fと比較すること自体無意味です。またA380F提案型の欠点は床面耐荷重の低さよりも貨物室の高さ制限で背高の大型貨物が搭載できないことでした。本記事はAviation Week等欧米の専門誌に比べて随分レベルが低い印象を受けます。

  4. A380は旅客機専用に開発されたのに比べ、B747は元々が貨物機からの転用だった事が今になって逆に有利とか、エアバスは貨物機に転用し易い設計にして置くとか、計画段階で織込めなかったのかと不思議だ。
    Eu統合に際し通貨を共通にしたら、これ程までに不便になる事が予測出来なかった失敗と似てる。やはり若い米国の方が考え方が柔軟なのだろうか?
    30年経済成長が止まってる歴史の古い日本も、EUと同じ隘路に堕ちては居ないか?