偶然か運命か 復元中だった戦艦「三笠」と鉄くずとして来日したチリ戦艦の奇妙な縁

ふたつ以上の機械類から部品を集めてひとつに組み上げることを「ニコイチ」といい、実は横須賀の「三笠」も、ある意味ニコイチで復元されました。これに貢献した、知られざるチリ戦艦と「三笠」の、不思議な縁を感じさせるお話。

遠路はるばる来たチリ戦艦が「三笠」復元に貢献

 チリ戦艦「アルミランテ・ラトーレ」は、「三笠」とは進水時期で13年の開きがありましたが、1950年代末に残存していた戦艦のなかでは、唯一、第1次世界大戦に従軍した艦でした。なおかつ「三笠」と同じイギリス製ということで、各種装備や部品に高い互換性を持っていました。

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復元された「三笠」の前に並ぶ日本とアメリカの関係者。奥に小銃を持って整列するのは海上自衛隊の儀じょう隊(画像:アメリカ海軍)。

 チリ政府も、解体に際して「アルミランテ・ラトーレ」から外した様々なパーツを「三笠」復元のために使用することを承諾してくれます。

 太平洋戦争後の荒廃によって、数多くの部品が行方不明となっており、しかも「三笠」は20世紀初頭に建造された艦のため、イギリス本国でもすでに製造されていない部品が多かったため、入手困難な部品や装備をこのような形で入手できたことで、「三笠」の復元作業ははかどるようになりました。

 こうして、一時はダンスホールや水族館として使用されていた「三笠」でしたが、わずか2年ほどで現役時代の姿に戻され、冒頭に述べたように1961(昭和36)年5月27日に無事、復元記念式が挙行されるに至ったのです。

 歴史にifはありませんが、仮に「アルミランテ・ラトーレ」が第1次世界大戦で戦没していたら、もし「アルミランテ・ラトーレ」を日本の商社が買い付けなければ、「三笠」の復元作業は難航し、費用ももっとかかっていたことでしょう。

 太平洋戦争後に一時荒廃したことは「三笠」にとって災難でしたが、その復元というある意味絶妙のタイミングで「アルミランテ・ラトーレ」が約1万7000kmの距離を超えて横須賀に来て、そして鉄くずになり失われるはずだったその一部が「三笠」に残されたというのは、もしかすると両艦は見えない運命の糸で結ばれていたということかもしれません。

【了】

【写真】戦艦「三笠」の復元に使われたチリ戦艦

Writer:

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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