腹ばいで操縦する変わり種 まるで紐なしバンジーな伊製急降下爆撃機 なぜそうなった?

スキー場のリフトのような足元がブラブラしたタイプのジェットコースターは、両足の踏ん張りがきかないためよりスリリングといいます。これが急降下爆撃機で、しかも腹ばい姿勢で操縦するとなると……WW2期、イタリアでのお話です。

急降下爆撃機の最適解を導き出した結果…ユニークすぎたSM.93の誕生

 新たな国産急降下爆撃機には、ドイツから提供された高出力な、ダイムラー・ベンツ製DB605水冷エンジンを用いることを決めます。なおエンジン以外は独自開発でしたが、胴体や主翼などほとんどの部分は木製構造でした。

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SM.93急降下爆撃機の機首部分。前方下部視界をよくするため、エンジン直上にまでコクピットの風防がせり出している(画像:サンディエゴ航空宇宙博物館)。

 この新型急降下爆撃機の開発中、イタリアはアメリカやイギリスに降伏し、国は南北に分裂したものの、北イタリアを占領したドイツが同機を接収し開発は続行されます。そして1944(昭和19)年にSM.93は完成し、1944(昭和19)年1月31日には初飛行に成功しました。

 SM.93の特徴は、冒頭に記したように、なんといってもコクピットでした。ふたり乗りで、後ろ側の銃手席は一般的な椅子に座る構造でしたが、前側の操縦手は椅子に着席するのではなくうつ伏せで搭乗するようになっていました。

 これは急降下爆撃機としての性能を追求した結果で、軍用機として空気抵抗を減らしつつ、急降下爆撃機として良好な機体前下方の視界を確保し、なおかつ急降下後の機体引き起こし時にかかるパイロットへのG(重力)に対する負担を減らせるよう、様々な条件を勘案した結果、導き出されたものでした。

 SM.93は大きさの割に重い機体だったものの、約1500馬力を発揮するドイツ製エンジンのおかげで性能的には問題なく、テスト飛行では急降下時に900km/hものスピードを記録しています。

 しかし、戦争が激しさを増すなかで試作機の開発は続けられなくなり、初飛行から2か月後の3月29日にドイツの命令によって開発は中止になりました。

 SM.93は性能こそ悪くありませんでしたが、仮に採用され部隊配備となったら、パイロットから文句が出たのではないでしょうか。とくに軍用機の場合はちょっとした操縦ミスが命取りにつながるため、それまでの航空機とあからさまに搭乗姿勢が異なるSM.93は、あまりにもクセが強いといえるでしょう。

【了】

【写真】急降下爆撃機の代名詞的存在か? ドイツのJu87

Writer:

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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