マスタング+コルセア+etc=「イーグル」! WW2期米軍のイイトコどり機は成功したか

費用対効果を最優先したXP-75「イーグル」の結果は…?

 1942(昭和17)年10月、この新型機は「XP-75」の名称で、正式に開発契約が結ばれます。すると、フィッシャーはまだ実機も完成していない段階で、「イーグル」という愛称まで決めてしまいました。

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試験飛行中のP-75A「イーグル」戦闘機の上面写真(画像:アメリカ空軍)。

 フィッシャーは、開発期間の短縮と生産コストの低減を目的として、既存機の部品を積極的に流用することにしました。主要部分だけ見ても、主翼外側と胴体下部のラジエーター部分はノースアメリカンP-51「マスタング」戦闘機のものを、主脚にはヴォート(チャンス・ヴォート)F4U「コルセア」艦上戦闘機のものを、そして尾翼にはダグラスSBD「ドーントレス」急降下爆撃機のものを各々用いていました。そのため、独自設計といえるのは、コクピットを含む胴体前半分と主翼付け根くらいでした。ここまで既存機の部品を流用していれば、開発期間は相当、短縮できます。

 なおXP-75の開発中に、アメリカ陸軍のなかで開発に関する優先順位が変わり、迎撃戦闘機機よりも大型爆撃機に同行可能な長距離護衛戦闘機の方が上位になります。XP-75もその影響を受け1943(昭和18)年7月、同機を基にした長距離護衛戦闘機が改めて開発されることになり、その改良型はP-75Aと呼ばれることになりました。

 そのようななか、XP-75は開発契約の締結から約1年後の1943(昭和18)年11月17日に初飛行します。しかし、試験飛行は惨憺たるものでした。機体前方を貫く延長軸は振動を引き起こし、なおかつエンジンの冷却不足も問題になりました。さらに重心位置もおかしかったため、機体の安定性も悪いものでした。

【写真】やはりクルマの発想? 軸が長いXP-75のエンジン

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