マスタング+コルセア+etc=「イーグル」! WW2期米軍のイイトコどり機は成功したか

抜本的な改善からロールアウトしたP-75A戦闘機…

 数多くの問題から、改良型として開発されていたP-75Aは、主翼や尾翼に既存のものを流用することを止め、コクピットの風防や重心位置まで見直す根本的な設計変更が行われました。しかし、ここまでの改良となると、時間もコストもかかります。

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牽引車で移動中のP-75A「イーグル」戦闘機(画像:アメリカ空軍)。

 抜本的な設計変更で、既存機を流用することによる開発期間の短縮や生産コストの低減は考慮できないところまできていました。またP-75Aの初号機は1944(昭和19)年9月15日にロールアウトしますが、そのころには既存のP-51「マスタング」やP-47「サンダーボルト」などが十分に長距離護衛戦闘機としての役目を担っており、P-75Aを導入する必要性はなくなっていました。

 P-75A自体の性能も、XP-75と比べると改善されていたものの、アメリカ陸軍の要求値には及ばず、しかもテスト中に墜落事故を起こしてしまいます。その結果、生産はXP-75とP-75A合わせて14機で終了し、しかも博物館で残す1機を除いてすべてスクラップにされました。

 その後「イーグル」の名を受け継いだのは、航空自衛隊も使用するF-15戦闘機です。同機が「20世紀最強の戦闘機」などと呼ばれるのと比べて、XP-75「イーグル」はあまりにも対照的な機体であったといえるでしょう。

【了】

【写真】やはりクルマの発想? 軸が長いXP-75のエンジン

Writer: 柘植優介(乗りものライター)

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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