世界一派手かもしれない空中給油機誕生! 正体は英王室御用達機…VIP運ばずなぜ燃料?

「ベスピナ」がこうなるまでの紆余曲折な経緯とは

「ボイジャー」が就役するまで、イギリス空軍のVIP輸送機は、短距離の移動に使用する王室専用機BAe 146しかなく、王室メンバーや閣僚が長距離の移動をする際は、ブリティッシュ・エアウェイズなどの民間航空会社の機体をチャーターしていました。

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「ベスピナ」はイギリス空軍の登録番号である「ZZ336」とも呼ばれる(画像:イギリス空軍)。

 民間旅客機のチャーターはセキュリティーや通信などの面で問題があったことから、トニー・ブレア政権時代に大型の政府専用機の導入が検討されましたが、コストがかかりすぎることから批判の声も大きく実現には至りませんでした。その後デビッド・キャメロン政権になって、「ボイジャー」の1機をVIP仕様機に改修することが決定し、これが前述した「ベスピナ」となりました。

 約1000万ポンド(2015年の計画当時の相場で約18億8600万円)を投じた改修により、「ベスピナ」のキャビンはフル・フラットシートのビジネスクラス58席を含む、158席仕様となりましたが、当初は予算がかかることから、外観はほかの「ボイジャー」と同じグレーの塗装のまま就役します。

 しかしボリス・ジョンソン現首相が、「世界中にイギリスのブランドをよりよく示す」ため塗装の変更を求めた結果、「ベスピナ」は現在の姿へ改装されることとなりました。

「ベスピナ」はほかのボイジャーと同様、VIP輸送に使われない時には空中給油、輸送機として使用される予定で、現在は新型コロナウイルスの感染拡大により王室メンバーや閣僚の長距離移動に使用する予定がないことから、前述した「クリムゾン・オーシャン」が、新塗装での最初の任務になったというわけです。

【写真】改装前はこんな感じか いくらなんでも地味すぎる「ボイジャー」

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コメント

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1件のコメント

  1. 空中給油機には乗ってみたいけれど、トーマスクック・エアラインって親会社の破産により2019年9月23日から運航停止なっていませんでしたっけ?