埼玉で途切れる新幹線の線路? 駅は上り高架 下り地上 謎多き東鷲宮へ行ってみた

高架化工事中の駅では、向かい合う上下線ホームが地上と高架に分かれるケースがありますが、これが「本設」の構造というのが埼玉の東鷲宮駅。その近くには、新幹線へと通じる別の高架線も存在します。謎多き駅へ行ってみました。

駅の構造だけじゃない 不思議な東鷲宮駅

 埼玉県の平野部を南北に貫くJR宇都宮線(東北本線)。県内の停車駅は浦和を除き基本的に地上のホームですが、そのなかで例外なのが、久喜市の東鷲宮(ひがしわしのみや)駅です。下り線は地上、上り線は高架上にホームが設けられており、この駅の前後で上り線のみ高架になります。

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東鷲宮駅の東口で途切れる高架線は、東北新幹線へ通じている。

 東鷲宮駅は1981(昭和56)年、まず貨物駅として開業し、翌年に旅客営業が始まりました。上り線のみ高架なのは、駅の上り線側の地上に貨物ヤードが設けられていたからです。下り線から分岐し貨物ヤードへ通じる線路が、上り線と平面交差しないよう、上り線のみを高架にして、その下をくぐれるようにしたのです。

 ただ東鷲宮の貨物ヤードは、国鉄が経営難から合理化を進めていた時期に建設されたこともあり、わずか5年で廃止され、いまより広大だった駅の敷地は縮小されました。現在の駅東口広場の一帯も、かつては駅の構内でした。

 一方で、この駅前広場の南側には現在も線路がいくつも敷かれ、車両基地のような様相を呈しており、レールなどを運ぶ貨物列車も発着しています。さらに、基地と東側の道路とのあいだには、この基地で途切れる高架線が通っています。

 ここは、東北新幹線と在来線の保守基地で、高架線は南東方向へS字カーブを描きながら、東北新幹線へと続いているのです。地上の保守基地から新幹線へ向かう保守車両は、地上の線路をいったん南へ進み、スイッチバックして進行方向を北へ、保守基地横の高架線へ入り、さらにスイッチバックして南へ進み新幹線へ進入します。

 この鷲宮保守基地は2012(平成24)年から2019年まで年1回、一般に公開されており、スイッチバック用の高架線を歩くイベントも行われたことがあります。

【了】

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コメント

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2件のコメント

  1. 元々は高架の終点から先に地上に降りる部分があったこと、新幹線の保守基地の移転でスイッチバックになったことに触れないのはいかがなものか。

  2. 文字数制限がある為か、まだまだ書き足りない事柄がありそうです。私のお気に入りは、南側久喜駅方面、東武鉄道高架脇の二重踏切。かつて東武鉄道とも繋がっていた貨物線に、広軌と狭軌が同居していて、真っ直ぐ東鷲宮上り線の高架から降りてくる列車が見られる所は迫力あります。