Suicaじゃなくて「Visaタッチ」導入なぜ? 高速バスのキャッシュレス化に最適だったワケ

「Visaタッチ」は高速バス向けと言えるワケ

 キャッシュレス方式の多様化について、みちのりホールディングスは次のように話します。

「地方においては『Suica』『PASMO』などの交通系ICはそれほど普及しているわけではなく、『いばっぴ』のような地域のICカードが多いでしょう。一方で、対東京など広域の高速バス移動において、地元のICカードがよく使われるとは考えられないうえ、そうしたICカードは路線バスなどの少額な運賃での利用を前提としていますので、片道2000円程度の高速バスにはそぐわないのです」

 だからこそ、チャージが要らないクレジットカードのタッチ決済が有利というわけです。

 また、専用タブレット端末を開発した小田原機器によると、今回の機器は「交通系ICカードと比べると、処理速度のうえでは劣るので、乗降のスピードが比較的ゆっくりな高速バスやコミュニティバスでの利用を念頭に開発しました」と話します。

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「MEX」塗装の茨城交通高速バス(画像:みちのりホールディングス)。

 みちのりホールディングスの導入発表以降、小田原機器などには今回のシステムへの問い合わせが増えており、他社での導入も決まっているとのこと。「Suica」などの交通系ICは、導入コストや利用認証を得るうえでハードルが高いと感じているものの、キャッシュレスには対応しなければならない、と考えていた事業者のあいだで注目されているようです。小田原機器は今後、Visaだけでなく、JCBやマスターカードのタッチ決済にも対応していきたいとしています。

 なお、みちのりホールディングスでは今後、岩手県北バスの盛岡~宮古線「106急行バス」、福島交通の会津若松・郡山・福島~仙台空港線へ今回のシステムを導入することを表明しています。これらは、それぞれの事業者が単独運行する路線だそうです。

 一方で同ホールディングスでは、今回のシステムとは別に、「Suica」などの交通系ICカードを導入することとも検討しているといいます。

【了】

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