「点灯しない矢印信号」なぜ存在? それが点灯するのは「有事」

東京都内の交差点に設置された信号機には、矢印信号があるにもかかわらず点灯しないものがあります。よく見ると「防災対応型信号機」と書かれた標識が。どのような時に矢印が表示されるのか、警視庁に聞きました。

防災対応型信号機 矢印は飾りではない

 東京都内の交差点に設置された信号機には、矢印信号が付属するにもかかわらず、その部分が点灯しないものがあります。

 世田谷区内にある交差点を例にとると、矢印信号は左折・直進・右折の計3方向を表示できるタイプです。しかし通常の動作を見ていると、左と直進が表示されず青になり、黄のあと右折矢印だけが点灯します。一見すると無駄にも思える点灯しない方向の矢印信号、なぜ設置されているのでしょうか。

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左折と直進の矢印が表示されず青になる防災対応型信号機(2020年8月、乗りものニュース編集部撮影)。

 この信号機の横を見ると、「防災対応型」と書かれた標識があります。警視庁によると、この防災対応型信号機は、都心の外周にある環状七号線と環状八号線の主要交差点に設置されるといいます。大震災が発生した際に特定方向への矢印表示を行い、これらの通りから都心方向への車両流入を禁止または抑制するのです。

 では、昨今の新型コロナウイルス感染拡大を受け、仮に政府の命で都市封鎖などの措置が講じられるなどの「有事」ではどうでしょうか。

 警視庁によると、「防災対応型信号機は大震災を想定したものであり、都市封鎖を受けて矢印を表示することはありません」ということでした。

 なお例年は9月1日の「防災の日」、警視庁震災警備総合訓練にあわせて防災対応型信号機の運用訓練をするといいます。しかし2020年は同日に行わず、今後も日程は未定としています。

【了】

【写真】通常は見られない… 矢印を表示する防災対応型信号機

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