東名下り「右ルート/左ルート」なぜ分かれる? 若干おかしな右 工事で甦ったかつての姿

なぜそんな手法を? 「もとの運用」に戻すと何とも奇妙…

 なぜこのような手法が採られたかというと、途中にトンネルがあるためです。車線増設は通常、既存の道路が拡幅されますが、トンネルの拡幅には困難をともないます。それならば、新ルートを建設して上下線いずれか専用にしたうえで、既存ルートは上下線とも片方向とすれば「車線増設」を実現できる、というわけです。

 前出した東名上り線の日本坂トンネル区間(焼津IC~静岡IC)や、中央道下り線の上野原IC~大月IC間も同じ手法が採用されました。また名神の京都南IC~茨木IC間は、既存のトンネルの両側に並行してトンネルをそれぞれ新設し、車線を増設したため、上下線とも左右ルートに分かれます。

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東名の吾妻山トンネル付近。上が現在、下が車線増設前(国土地理院の空中写真を加工)。

 ところが、大井松田IC~御殿場IC間は2020年9月14日から5日間だけ、かつてのように下り線の右ルートが上り線として運用されました。

 これは東名集中工事の一環。上り線を一部閉鎖したうえで、下り線右ルートを上り線に転用して通行を確保したのです。標識などはクルマの進行方向に向けて仮設されたものの、本設の標識は裏向きという状態でした。NEXCO中日本によると集中工事などでは、このように下り線の一部を上り線とするような「リバース運用」が、たまにあるそうです。

 ちなみに左右ルートとも下り線として運用される平時でも、右ルートは左右の路肩幅が通常と逆だったり、トンネル内の非常設備が右側にあったりと、上り線時代の名残が見られます。

【了】

★★【図解】右ルートから鮎沢PA(下り)に入れる!? 東名集中工事で起こる激レア車線運用★★

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コメント

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2件のコメント

  1. 逆方向での運用が見込まれているなら標識は両面整備すれば良かった。

  2. 名神の京都南IC~茨木IC間は上下共に右ルートを選ぶと大山崎JCT・ICが利用できず、京滋バイパス・京都縦貫道に行くことができません。
    渋滞対策で、中央道の小仏トンネル(上り)も同じようになる。