アイスクリームと空母パイロットの意外な関係 「命の対価」の交換レートはどのくらい?

アイスの量=体重だった「命の対価」の交換レート

 第2次世界大戦で、太平洋熱帯域における長期間の洋上作戦が繰り広げられるようになると、蒸し暑く体力の消耗著しい環境下、艦艇の乗組員たちは心と体のリフレッシュを求めてアイスを渇望するようになります。

 しかし前出のとおり、アイスクリーム製造機は陸上基地を除くと、戦艦や空母、重巡洋艦などの大型艦に限られます。駆逐艦などの小型艦艇がアイスを手に入れるためにできた「ある習慣」、それは海軍機パイロットを助けたときでした。

Large 201001 icecream 02

拡大画像

1945年、アメリカ海軍の軽巡洋艦「マイアミ」の艦内に設けられた「ゲダンク・バー(スイーツ・パーラーの通称)」でアイスを食べる3人の海軍兵(画像:アメリカ海軍)。

 駆逐艦は、空母や戦艦などと比べて、小型であるがゆえに小回りが利き、足も速いのが特徴です。対潜水艦戦闘や対空迎撃戦闘など艦隊の外側の防備にあたるだけでなく、空母搭載機などのパイロットが、パラシュートで脱出したり、不時着水し海面を漂ったりした際にも彼らを救出するのに重要な役割を果たし、大海原に投げ出された数多くの「空母機乗り」たちが、駆逐艦によって九死に一生を得ています。

 命を救ってもらったお礼。それは、救われた仲間の体重と同じだけの重さのアイスを駆逐艦に無償で提供する、というものです。

 空母に乗っている彼らは、アイスに不自由することはありません。しかし、小さな駆逐艦などにアイスクリーム製造機は積まれておらず、駆逐艦乗りたちが「アイス日照り」になっていることを、救助されて初めて知った空母機乗りもいました。このような経緯で、「救われた命と同じ重さのアイス」が、感謝の意を込めて当該の空母と駆逐艦の間で交換されるという習慣が生まれたのです。

【写真】米海軍史上、初めてアイスクリーム製造機を搭載した軍艦

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

3件のコメント

  1. まぁアメリカ空軍でも、基地を設置するときに最初に作るのがアイスクリームの製造所で、滑走路は一番最後と言われているしな。

  2. 陸軍だと思うのですけど、前線でも交代でステーキ食べてたと聞きましたが。

  3. 現代では駆逐艦、潜水艦も含めてほぼ全ての軍艦にアイスクリーム製造機を載せている米軍だがフレーバーの決定権は艦長にあるため、奇抜な味を好む艦長だと他の乗組員が困るので1種類はバニラにするという暗黙のルールがあるらしい。(どんだけアイスクリームが好きなんだ…)