完成するもコロナ禍で就航できぬJR九州対LCCの切り札「トリマラン」特例で運航開始へ
JR九州の新型高速船「クイーンビートル」。「トリマラン」という特徴的な構造で、従来の「ビートル」とは違う武器で走り出す……予定でしたが、日韓関係の悪化、コロナ禍で波高く、視界不良。ただ、新しい道も見えてきました。
珍しい中型の「トリマラン(三胴船)」
「トリマラン(三胴船)」という特徴的な構造をしたJR九州高速船の新型高速船「QUEEN BEETLE(クイーンビートル)」に、2020年11月24日(火)、試乗することができました。
JR九州高速船が博多~韓国・釜山航路へ導入すべく製造したもので、今年10月15日(木)に造船所(AUSTALヘンダーソン造船所)のあるオーストラリアから博多へ到着。トリマランは、ヨットなどでは特に日本で珍しいわけではありませんが、中型高速旅客船として就航する80mクラスのトリマランとしては、世界初の船だそうです。また世界では旅客船のほか、軍の戦闘艦にも採用されています。
JR九州高速船の博多~釜山航路には現在、最高速度43ノット(約80km/h)のジェットフォイル(水中翼船)「ビートル」が就航。3時間5分で結んでいます(新型コロナウイルスの影響で運休中)。
トリマランの「クイーンビートル」は、3隻ある「ビートル」の1隻を置き換えるもので、最高速度は36.5ノット(約68km/h)、同区間の所要時間は3時間40分。スピードは劣りますが、その構造によって別のメリットを獲得しています。
ちなみに「ビートル」の名前は、ジェットフォイルが水中翼を水上にあげたとき、その水中翼がカブトムシのツノのように見えることが由来。トリマランにツノはありませんが、それを引き継いで「クイーンビートル」になりました。
新たな構造を採用したことにより、もう大型海洋生物とは衝突しないことを願います。