箱根駅伝を路線バス乗り継ぎでたどる【湘南・箱根】 バスと「山の神」どっちが速い?
【5区/6区】「山の神」よりやや速い?路線バスで箱根越え
・区間:小田原中継所(神奈川県小田原市)~芦ノ湖(神奈川県箱根町)、20.8km
・大会区間記録:5区/1時間10分25秒、6区/57分17秒
●乗り継ぐバス
・箱根登山バス「H」:風祭~箱根町港
小田原市から峠を越えて箱根町・芦ノ湖湖畔に至るこの区間は、順天堂大・今井正人選手(2004~2007年5区)、東洋大・柏原竜二選手(2009~2012年5区)、青山学院大・神野大地選手(2014年6区、2015・2016年5区)など数々の「山の神」を生んだ、言わずと知れた峠越えのコースです。
ほぼ同じルートを走る箱根登山バスH系統は、相当する区間(風祭~箱根町港)の走行に1時間程度を要しますが、この区間の記録は往路5区で1時間10分25秒、復路の6区で57分17秒。864mもの高低差をクリアしながらバスと遜色ない記録を出す箱根駅伝のランナーに、やはり「神」と呼びたくなる凄さを感じてしまいます。
ただこの区間は片側1車線の急な峠道が続き、バスにとっても対向車どうしのすれ違いにヒヤッとする難関です。そして観光シーズンにはバス運行の頻度も高く、途中の箱根湯本駅には無線を持った関係者がバス乗り場に立って「つぎ〇〇号車、箱根町港行き入って、そのあと〇〇号車スタンバイ!」と続行運転の指示を出しています。激しい口調での無線の使い方とその後の運転手への気遣いぶりは、さながら競走中の選手にスピーカーで指示を出す監督のようです。
路線バスで5区の見どころを巡るなら、2014(平成26)年まで駅伝のコースとなっていた重要文化財のトンネル・函嶺洞門(最寄バス停;箱根登山バス「塔の沢」)や、中継カメラの定点としてよく名前が出る温泉施設「箱根小涌園ユネッサン」(最寄バス停;箱根登山バス「ユネッサン」)周辺を歩くのも良いでしょう。
箱根峠を越えて神社の大鳥居をくぐり、バスは往路ゴール地点の目の前にあるターミナル「箱根町港」に到着します。ランナーはここから他の選手の応援のため帰っていきますが、この場所からは静岡県・三島方面に向かうバスや、芦ノ湖の対岸・桃源台方面へ向かう遊覧船に乗り継ぐことができます。まずは目の前にある「箱根駅伝ミュージアム」で、間もなく100周年を迎えるその歴史を感じていきましょう。
【了】
※誤字を修正しました(1月3日15時40分)。
Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)
香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。
バス停名が間違ってます。八軒通りではなく八間通りです。
ご指摘ありがとうございます。修正しました。
ご参考までに、5区、6区の区間伊豆箱根バスで向かうと、Z01系統(市民会館⇔箱根町)になります。