超電導リニアの巨大穴を造った「ニューマチックケーソン」とは?自重で地中に沈み込む

水圧に空気圧で対抗

 このとき、掘削機のある巨大円筒の地中側先端部分に、圧縮空気を送り込んでいるのが大きなポイントです。

 地中を掘るときは地下水の噴出が注意されるところですが、圧縮空気で掘削機のある巨大円筒先端部分の空気圧を上げることにより、その圧で、掘削しても地下水が出てこないようにされています。

「ニューマチックケーソン工法」は、英語で書くと「Pneumatic Caisson Method」、空気圧を使って函を沈める、という文字通りのもの。掘削の仕方によって、巨大円筒の沈み方をコントロールするそうです。沈むスピードは1日20~30cm程度とのこと。

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地上から見た坂下非常口(2020年12月24日、恵 知仁撮影)。

 中央新幹線の都市部に設けられるトンネル非常口の工法は、大きくこの「ニューマチックケーソン工法」と「連続地中壁工法」の2種類があり、地下水の状況や、水を通さない層の位置などによって、使い分けているそうです。

 なお巨大円筒は、最初にその全体を地上で造ってから沈めるのではなく、沈めながら順次、大きく造っていく形。

 この坂下非常口から2021年12月、リニア中央新幹線の本線トンネルを掘削するシールドマシンが発進する予定だそうです。

【了】

【図解】なるほど!目からうろこな「ニューマチックケーソン工法」の仕組み

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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