小田急多摩線の延伸構想が加速、まず相模原へ リニア新幹線開業も影響する?

多摩ニュータウンのアクセス鉄道である小田急多摩線について、延伸構想の検討が進んでいます。現在の終点・唐木田駅から相模原駅を経て上溝駅までが検討の対象区間ですが、延伸は採算性やリニア中央新幹線がカギになりそうです。

上溝まで開業すると「黒字化まで42年」

 東京都心から西へ約30km、人口約20万人の多摩ニュータウンと都心を結ぶ鉄道路線として建設された小田急多摩線。終点の唐木田駅(東京都多摩市)から、東京都町田市、JR横浜線の相模原駅(神奈川県相模原市)を経由して、JR相模線の上溝駅(同)まで延伸する構想が検討されていることをご存じでしょうか。

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小田急多摩線の現在の終点・唐木田駅の先にある車両基地(2011年11月、草町義和撮影)。

 小田急多摩線は元々、京王相模原線と並走して橋本駅(神奈川県相模原市)まで延伸する計画でしたが、オイルショック後に多摩ニュータウンの開発計画が縮小されたことを受け、小田急は小田急多摩センター駅(東京都多摩市)から先の建設を断念しています。

 ところが2000年代に入ると相模原市・町田市と都心部とのアクセス性向上を目的に、再びJR横浜線・JR相模線への延伸構想が浮上。2016年8月に相模原市と町田市、国、小田急電鉄、学識経験者から構成される「小田急多摩線延伸に関する関係者会議」が設置され、収支採算性などの課題解決に向けた検討が進められてきましたが、2019年5月28日に報告書が公表されました。

 建設費と採算性の推計にあたっては、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)が国と地方自治体から整備費の3分の2の補助を受けて路線を整備し、小田急は使用料を払って路線を借りて列車を運行する「都市鉄道利便増進事業」制度の採用を前提に、2033年に唐木田駅からJR横浜線の相模原駅を経由し、JR相模線の上溝駅まで約8.8kmの一括開業を想定。運行本数は朝ラッシュ時間帯1時間あたり9本(急行3本、各停6本)、オフピーク時間帯1時間あたり6本(急行3本、各停3本)、運賃は小田急電鉄の運賃体系に50円の加算運賃を設定すると仮定しました。

 その結果、概算建設費は1300億円、輸送人員は1日あたり7.3万人で、費用と便益の比率を示す整備効果は1.2となり、社会的意義は認められるものの、黒字化まで42年を要することが分かりました。

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コメント

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5件のコメント

  1. いっそのこと、JR横浜線と相互直通して八王子まで運転したら?
    リニアの恩恵は受けられるけど、同時に京王や中央線ともろに競合するけどね。

    • JRと軌間が一緒で乗り入れ実績もあるところが京王には出来ないメリットなんで直通運転はしてほしいですね。
      ゆくゆくはロマンスカーが元同僚と大月あたりで肩を並べたりして。

  2. 相模大野~原当麻のBRT計画をLRTで相模大野~相模原または橋本に変更した方が相模原市の発展に繋がると思います。

    • 賛同

  3. この話、小田急は株主総会で「線路を作ってくれれば考えます(赤字は引き受けないよ)」と言ってます。

    それもコロナ前の話で、今では旅客収益が激減してしまい、多摩線の延伸は地元政治家のパフォーマンスでしかありません。