装甲車に操縦席複座型があるワケ 戦車は単座 狭い車内でなぜ操縦手を2名座らせるのか
当たらなければどうということはない! とも言ってられないから「複座」
16式MCVの戦闘射撃訓練を取材しましたが、そのなかで防御戦闘を想定した稜線越しの射撃においては、最初からバックで稜線に進入し、砲塔は車両後方の標的に向けて射撃、撃ったら即前進で移動するという、一撃離脱しやすい挙動も見られました。
厚い正面装甲を敵に向けられればベストですが、16式MCVの戦い方は敵弾に耐えるのではなく、敵弾に当たらないのが基本です。あえて後面を敵に向けるような、戦車では考えられない姿勢で戦うこともあるようです。小回りが利かない装輪式ならではの戦法です。
装甲車が複座型になったのは、射撃したら全力で逃げ出すことを最優先に、切り返す必要がないよう後ろ向きに操縦席を設けたのです。そもそも前後の区別がつきにくい装甲車もあります。そのようなわけで装軌式の戦車では、複座型はほとんど有りません。
普通のクルマでは珍しい複座型ですが、装輪装甲車にとっては生死にかかわる大問題でした。先に紹介したような複座の装甲車が見られるということは、いかに装輪車が戦場で運転に苦労してきたかの証左でもあります。
【了】
Writer: 月刊PANZER編集部
1975(昭和50)年に創刊した、40年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。
副操式かどうかは割り切った軽装甲の末の運用思想の差であって、装輪/装軌の差では無いのでは? …と思います。
スェーデンのS戦車は装軌式でありながら後方操縦席を持つ事は、よく知られています。
大戦中のイギリスの装軌自走砲で、砲を後ろ向きに積んでしまったが思いのほか使い勝手が良かったハナシも有名です。
設計者に直接取材した内容でない様子。それなら、もう少し周辺情報の分析をしてから書きませんか?