帰れない船乗り40万人 なぜ? 物流支える商船員の交代問題 下船しても苦難の道のり
感染させられるわけにはいかない! 想像を絶する乗船プロセス
いま、船員の交代は世界の中でも日本で行われるケースが比較的多いといいます。たとえば、新たに乗務する船員がフィリピンから日本にやってきて交代する場合、次のようなプロセスを経ます。
まずフィリピンで抗体検査を実施し、最低2週間、ホテルの部屋で隔離されます。これは、部屋のドアの前でコーストガード(沿岸警備隊)が見張っているという完全な缶詰状態だそうです。その間にPCR検査を2回行い、隔離完了後にもう1回実施し、陰性であれば日本へ行けるのこと。PCR検査の精度は7割といわれていることから、3回行っているといいます。
そして、各種手続きや空港への移動などで外に出る際には、PPEと呼ばれる防護服を着用し、「コロナ病棟で働く医療従事者とほぼ同等のスタイル」(高橋さん)で出かけ、そのままの格好で、日本行きの飛行機にも搭乗します。高橋さんの話では、「成田やマニラの空港で異様な格好をしている一団があれば、それは船員かもしれません」とのことで、日本に着いてからも、この完全防備の状態で、目的の船まで専用のバスで移動するそうです。
「こうしたこともあり、船員の乗下船にともなう感染リスクは、一般の人が移動するよりもはるかに小さいでしょう。彼らが恐れるのはむしろ、一般の人から感染するリスクです。というのも、失うものが大きいからです。ここまでの努力を払っても、感染し乗船できなければ、数か月分の収入が飛んでしまいます」(日本郵船 高橋さん)
一方で、船を下りたい船員も苦労は絶えません。配船先の水域によっては、飛行機が飛んでいないために身動きが取れなかったり、鎖国状態の国もあったりして、下船がままならないこともあるといいます。
たとえば、ほぼ鎖国状態にあったベトナムの船員を、中東で下船させ、日本まで飛行機で移送、そこから1か月後に運航される政府間のチャーター便に乗せて、何とかベトナムへ帰したこともあるそう。ちなみにチャーター便を待つあいだの1か月間は、ホテルで隔離だそうです。
鎖国やロックダウンの政策を批判する意見も多いですが、各国が入国規制するのは当然の措置でしょう。
特に医療が乏しい途上国では、感染拡大が致命傷になります。
本文の通り船員さんが感染するリスクもあり、感染した船員が乗船すればダイヤモンド・プリンセス号の様な悲劇になると思います。
各国の外務、航空会社も含めての対応が問われているのかと思います。知恵を出して対応するしかないのでしょう。
強いて言えばトラック輸送(1台当たり10~20t)の場合、長距離輸送は鉄道(1編成400~600t)を活用する逃げ道もありますが。
ここまでくると、ずっと働いてるほうが気が楽かもしれないね。
バブルでいうなら、船というバブルに閉じこもるって感じで。