「ランクル」激似の新型4駆をフランス軍が大量調達のワケ プジョーの後継 伝説また1つ
プジョーP4はベンツ230Gがベース
なぜ、そこまでフランス陸軍は「ランクル」改造の「マステックT4」を大量調達し、既存のプジョーP4を急速に置き換えたのでしょうか。
そもそもプジョーP4は、1981(昭和56)年にフランス陸軍に採用されると翌1982(昭和57)年から生産がスタート、1984(昭和59)年までに約1万3500台が納入されました(後半の製造はパナールが受託)。
同車はプジョー製とはいえ、ベースはメルセデス・ベンツ「230G」、いわゆる「ベンツGクラス」でした。230Gの車体にプジョー504のエンジン、同604のトランスミッションを組み合わせたものので、約半数の部品に関して230Gと共通のものを用いています。
そのため、フランス以外の国への輸出には様々な制限がつき、なおかつ輸出するにしても230Gのライセンス料が上乗せになるため、性能的には230G、すなわち「ベンツGクラス」と大差ないのに価格は割高で、民間仕様も含めて海外販売は振るいませんでした。
当時はプジョー自体の経営不振もあり、生産ラインも1990年代初頭に閉じられます。結果、フランス陸軍は乗用車クラスの小型4輪駆動車に関しては車両更新ができず、整備しながら使い続けることになったのです。
このような状況が長く続いたことで、2010年代に入るころから、明らかに実用に耐えられない個体が多く出るようになり、フランス陸軍は急きょ後継車両の選定に着手。結果、悪路走破性や耐久性が高く、整備性にも優れ、短期間での大量調達も可能ながら単価を抑制できる車種として、「ランクル70」がベースのテクナム社の提案モデルを採用したというわけです。
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