鉄道高架橋が事務所や住居に… 名古屋「南方貨物線」の奇景 国鉄の一大未成線

名古屋市南部の住宅地の一画に、車両がまったく走っていない鉄道の高架橋が点々と続いています。民間に売却されて住宅、倉庫、ゴルフの打ちっ放しなど様々に活用されている「南方貨物線」。その、運に見放された歴史をたどります。

開通目前に再び中断 他の路線と分かれた明暗

 その後、和解が成立し1980(昭和55)年に南方貨物線は再着工を果たします。路盤も単独区間7.44kmのうち残すところ500m、設備は8割がた完成し、「あとはレールを敷くだけ」に近い状態まで到達しました。

 しかし今度は「オイルショック」による貨物需要の低迷が深刻に。国鉄が単独で建設していた南方貨物線は、「国鉄の支出抑制」を打ち出した閣議決定後に身動きが取れなくなり、1983(昭和58)年には再度、工事が中断されます。その後も旅客化の構想や、中部国際空港連絡線としての活用案も浮上したものの、工事は再開されず、2002(平成14)年には300億円が投じられ、可能な限り構造物が撤去されました。この路線が再度、陽の目を見ることはないと思われます。

 なお、オイルショックによる需要の低迷は、南方貨物線以外の計画にも大きな影響を与えました。

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笠寺駅の北側には複線の高架橋が残る(宮武和多哉撮影)。

 名古屋駅の北側をぐるりと抜ける予定だった「瀬戸線」は、枇杷島~勝川間が「北方貨物線」として優先で進められましたが、運営上の問題もあって開業が遅れ、1991(平成3)年にはJR東海の子会社が引き受ける形で、前出した旅客専用の東海交通事業 城北線として開業を迎えました。しかし勝川駅で中央本線と高架がつながっていないこともあり、利用客数は極端に低迷。今や、1両編成の気動車が300万都市の住宅密集地をコトコト走る「都会の秘境路線」として知られています。

 その一方、高蔵寺~瀬戸市間は採算をかなり悲観視されるなかで工事が進み、1988(昭和63)年には部分開通12年で廃止に追い込まれた岡多線の既存区間・未開通区間と一体となった愛知環状鉄道線として、開業を果たします。しかしこちらは、蓋を開けてみれば想定外の好調が続き、平成30年度の決算では2億円以上の黒字をたたき出すほどの優等生路線として変貌を遂げました。

【路線図/ギャラリー】ユニークすぎる「未成の高架線付き物件」が点在する南方貨物線

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コメント

2件のコメント

  1. 愛知環状鉄道の黒字は下駄を履かせた結果ではないでしょうね?

  2. 昨今の情勢では「山梨県駅」からそのあたりまで最長の未成線ができやしないかと危惧しています…

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