葛飾区「新金線の旅客化」本当に可能? 貨物線の旅客転用は課題山積 現地で感じた「壁」
地元も一枚岩ではない? どことなく「タテワリの壁」が…
京成高砂駅に関しては「いつ始まるかわからない京成本線などの立体交差化とどう兼ね合いを取るか」という問題もあり、新金線の旅客化に向けた動きが、周辺地域の都市計画とあまり連携していないようにも見えます。同駅近辺では、京成本線などの高架化と車庫移転を前提とした「高砂駅周辺まちづくりプラン」が進んでいますが、新金線の旅客化については触れられてすらいません。
また新宿踏切に関しても、葛飾区は長らく「旅客化した際も新宿踏切は平面交差」という案で検討していますが、踏切周辺で行われている水戸街道の拡幅・高架化事業(「新宿拡幅」2025年度完成予定)では、JR東日本と行われた協議をもとに「新金線側の高架化を待つ」とされています。この事業で中川大橋から新宿踏切近辺まで設置される予定の、国道の高架を数百m延伸すれば平面交差自体が解消されるのですが、直近の葛飾区議会による議論でも従来の姿勢は変わっていません。
現在のところ、新金線の旅客化は「検討中」のまま長い時間だけが経ち、まちづくりや道路事業とはうっすらと縦割りの壁が感じられます。そうしたなか、開業は2030年度を想定しているため、それに向けて諸問題を整理していかないと、沿線やほかの事業者も動けないのではないでしょうか。
なぜそこまで新金線の旅客化にこだわるのか?
新金線の旅客化が検討される背景には、葛飾区独特の事情もあります。葛飾区は地元の子どもたちが授業で使う「かつしか郷土かるた」でも、「いくつもの 川が流れる 水のまち」と詠まれるほど川の多い地です。新金線の1km少々西側にあり路線バスの運行も多い環七通りとの間には中川と新中川(中川の放水路)が分岐しながら流れています。
バスの運行も多い環七沿いと違って、周囲を川や狭隘な住宅街に挟まれた新金線沿いは、ことのほか区内のちょっとした移動の効率がよくないのです。環七沿いと新金線沿線はもともと地続きの隣町でしたが、戦後に拡張・新設された川や放水路で分断、かつ道路の整備も進まないまま住宅で埋め尽くされ、移動の利便性で差がついてしまった経緯があります。
こうしたことから、新金線の沿線は葛飾区のなかでも高齢化率が高い地区が連なっており、移動に困る人が今後増えると見込まれているのです。新金線の旅客化は、その課題を一挙に解消する手段として注目されています。
【了】
Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)
香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。
毎年30兆円以上の赤字国債を発行するほど財政規範が崩壊したこの国で、鉄道新線などこれ以上作らない方がよいのではないですか?現状バスで間に合っているようだし、朝に総武線に常磐線が合流する隙はないような気がしますが。
>>朝に総武線に常磐線が合流する隙はないような気が
そもそも合流させる必要性はどこにあるんでしょうか、新小岩止まり・接続にすれば何も問題はありません。
まず配線も総武線側と新金線は別々になっています。
小55系統(金町駅~柴又~小岩駅)は、の運行は、タウンバスではなく京成バスです。
新宿踏切を高架化して欲しい。
渋滞が著しいので。