葛飾区「新金線の旅客化」本当に可能? 貨物線の旅客転用は課題山積 現地で感じた「壁」

容易ではない新金線の旅客化 2つの大課題

 一方で、新金線の旅客化には大きな課題があります。そのひとつは「新宿(にいじゅく)踏切の扱い」です。

 金町駅から1kmほど南西にあり水戸街道(国道6号)を横切る新宿踏切(正式には新宿新道踏切)近辺は、1日7万台近くのクルマが通過し、ラジオの交通情報で「水戸街道は葛飾区の新宿踏切を先頭に渋滞」というフレーズがしばしば聴かれるほどです。

 現在この踏切は、渋滞を防ぐため、列車が走らない時は踏切手前側の信号に従って一時停止せず通過、貨物列車通過の際は遮断機と踏切に従う、ということになっています。この踏切に1時間4~6本の旅客列車を通す場合、区は、「国道を赤信号にしたあと、最短サイクル35秒内に(鉄道)車両を通過させる」という道路優先の運用で、国道との平面交差ができるとしています。

 しかし、旅客列車だけではなく貨物列車も運行されるとなると、おなじ踏切で道路との平面交差に規定がない「軌道法」と、現行の貨物線運用の「鉄道事業法」が同居することになります。

「旅客列車は軌道法で平面交差OK、貨物線の踏切はもともとあるので立体交差せずOK」という解釈特例が認められるのか、また踏切が新規の扱いになった場合は、原則で新規の平面交差を認めていない「道路法」などの兼ね合いをどうするのか、など問題は山積みです。
そもそも1日80往復以上の旅客列車の中に1日数本、通過速度も違う貨物列車が入ることで信号サイクルが維持できるのかという問題もあり、国道の渋滞にも影響を及ぼす可能性があります。

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水戸街道の新宿踏切(乗りものニュース編集部撮影)。

 旅客化の壁となる、もうひとつの問題が、「京成高砂駅の接続」です。

 京成高砂駅は新金線から500mほど距離があり、乗り換えの利便性に疑問符が付きます。現在は「新宿踏切を通らずに新金線から京成高砂駅へ新線を引き込み、新小岩~京成高砂間を暫定開業、京成金町線へ接続」というプランもありますが、この500m間はぎっしりと住宅が続き、工事の難航が予想されます。

 また、このプランで考慮されている京成金町線(京成高砂~京成金町)は、京成高砂駅周辺ですでに高架化されているため、乗り換えもどのような形になるかも不透明です。

【地図】新金線の位置/写真ギャラリー

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コメント

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4件のコメント

  1. 毎年30兆円以上の赤字国債を発行するほど財政規範が崩壊したこの国で、鉄道新線などこれ以上作らない方がよいのではないですか?現状バスで間に合っているようだし、朝に総武線に常磐線が合流する隙はないような気がしますが。

    • >>朝に総武線に常磐線が合流する隙はないような気が
      そもそも合流させる必要性はどこにあるんでしょうか、新小岩止まり・接続にすれば何も問題はありません。
      まず配線も総武線側と新金線は別々になっています。

  2. 小55系統(金町駅~柴又~小岩駅)は、の運行は、タウンバスではなく京成バスです。

  3. 新宿踏切を高架化して欲しい。
    渋滞が著しいので。