ギリシャが買った戦闘機「ラファール」って? 「タイフーン」との因縁 フランスの意地

同じ出発点の「タイフーン」とはどう違う?

「ラファール」と「タイフーン」は、もともと同じEFA計画からスタートしていることもあって、共にデルタ(三角形)翼に、揚力を生む効果を持つカナード翼を組み合わせた、1980年代のトレンドに沿った設計を採用しています。

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空母艦載機型の「ラファールM」に搭載される空中給油ポッド。これにより「ラファールM」は空中給油が可能となる(竹内 修撮影)。

「ラファール」は「タイフーン」に比べてエンジンの推力がやや小さく、最大速度では「タイフーン」に及びませんが、基地や空母から発進して任務を達成し、発進した基地へ帰還できる距離(戦闘行動半径)は「タイフーン」よりも大きくなっています。

 また「タイフーン」が機械式の「CAPTORレーダー」を搭載しているのに対し、「ラファール」は就役当初から機械式レーダーよりも探知能力の高い「PESA(パッシブ・フェイズド・アレイ)レーダー」を装備しているため、索敵能力は「タイフーン」を上回っています。

 現代の戦闘機は30年以上の運用を想定していますが、第一線の戦力であり続けるためには、能力向上改修が必要となります。「タイフーン」はF-15などと同様、能力向上改修にあたっては、大規模な機体の改修が必要となります。

 21世紀初頭に生産された「トランシェ1」と呼ばれる「タイフーン」の初期生産型は、ハードウェアの旧式化によって能力向上改修が困難になっています。このため2007(平成19)年にドイツ空軍から中古のトランシェ1仕様「タイフーン」を購入したオーストリア空軍は、就役から15年も経っていないにもかかわらず、「タイフーン」を退役させて新戦闘機の導入を検討しています。

 一方、「ラファール」は大部分の能力向上にハードウェアの改修を必要とせず、ソフトウェアのアップデートだけで対応できます。「ラファール」より後に開発されたF-35もこの能力を備えていますが、1980年代に開発された戦闘機でありながら、F-35と同じ特性を備えているところにも、「ラファール」の先進性を見てとることができます。

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コメント

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2件のコメント

  1. ウエポンシステムが事実上専用になるから、次期の機体に制約が出るんだよな。
    ギリシャもミラージュ2000を使っていたから、それと同時買っている武装が転用できるからすんなりと変えたし、逆を言えばF-16も使っているから、F-16系やEF2000辺りはF-16を買った時の武装が転用可能だからさっさと売らないと、そちらにシェアを取られるわな。

  2. 近年はスクランブルやポイント攻撃以外の戦闘機の役割がよくわからない。
    攻撃目標物の破壊ならば、
    複数の高精度スパイ衛星と
    複数の偵察および攻撃目標座標ロック用の長時間作戦可能ドローンと
    無線リンクさせた中・長距離超高速ミサイルで
    偵察も攻撃も済んでしまう。

    一番謎なのが、対衛星兵器。
    全ての作戦に必要不可欠な敵対国の衛星を
    軌道上で無能にするか破壊することは作戦上非常に有効だが、
    衛星軌道上にデブリを増やすだけで、そのうち自国や同盟国の衛星まで悪影響を及ぼすだろう。
    墜落させて大気圏で燃やしてくれるなら話は別だが。

    現代は大規模な消耗戦や破壊でなく、
    生物・環境兵器、通信妨害・遮断、金融・通貨の遮断、国の閉鎖措置、情報戦略で
    相手国を孤立化・疲弊させる方法が主流なので、
    「攻撃」方法そのものが変わってしまっている気がする。