砲塔数は近代戦艦史上最多! モンスター戦艦「エジンコート」の流転 あえなくスクラップ

旧日本海軍の戦艦「大和」は主砲塔を3つ、戦艦「金剛」や「長門」は主砲塔を4つ装備していました。しかし地球の反対側、イギリスにはなんと主砲塔を7つも搭載した戦艦がありました。いったい、どのような経緯で生まれたのでしょう。

砲塔が7つあるから呼称は「曜日」で

 とはいえ、船体への影響や命中精度についての結論を出すためには、わずか百数十発の斉射では足りません。「エジンコート」は長い船体の艦首尾線上に、艦首側から順番に7基もの12インチ連装砲塔を配しているので、主砲の斉射時に船体がしなり、着弾の散布界が広くなる、つまりピンポイントでの命中精度に劣る傾向があったとも伝えられます。

 ちなみに、イギリス海軍では主砲塔を艦首側から「A砲塔」「B砲塔」と称していましたが、「エジンコート」は主砲塔を7基も備えるからか、最も艦首側の主砲塔を「日曜砲塔」とし、以降、艦尾に向かって「月、火、水、木、金」曜砲塔と順番に呼び、艦尾最後部の砲塔を「土曜砲塔」と呼称したそうです。

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戦艦「エジンコート」を真横から捉えたカット。左が艦首、右が艦尾。「エジンコート」は基準排水量約2万7500トン、全長204.7m、速力は最大22ノットで、同型艦はなかった。(画像:アメリカ海軍)。

 しかし戦艦「エジンコート」は、やはり運用上何らかの問題があったようで、第1次世界大戦が終結した約1年後には早くも予備艦とされ、1921(大正10)年には軍艦籍から除籍。しばらく実験艦として運用されたものの、翌1922(大正11)年に日本を始めとした主要海軍国の間でワシントン海軍軍縮条約が締結されると、廃艦になることが決定、同年末にスクラップ業者に売却されて、わずか10年あまりの短い生涯を閉じました。

 多数の機関銃を搭載した航空機には、そこそこの活躍を示した機体も少なくありませんが、戦艦には“多主砲”は向かなかったようです。「エジンコート」の直後に起工された日本の扶桑型と伊勢型の計4隻の戦艦は、本艦よりも1基少ない連装砲塔6基を装備しましたが、これでも多かったのか、各国ともそれ以降の戦艦は、さらに砲塔数を少なくしています。

【了】

【写真】「エジンコート」に一つ足りない 主砲塔6つ載せた日本戦艦「扶桑」

Writer:

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

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コメント

1件のコメント

  1. 多砲塔が廃れていった理由の一つに、バイタルパートの長大化があったはず。必然的に船体は重くなり、速力が落ちるのだ。三連装砲塔を作る、そして運用する技術も発達してゆき、多砲塔にする必要がなくなっていった。

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