3.11大津波を国民に伝えた陸自ヘリ「映像伝達装置」災害現場へすぐさま急行 その役割
新型は衛星通信タイプ
「ヘリコプター映像伝送装置」を搭載した機体は、災害発生後、すぐさま飛び立ち上空偵察が行えるよう、常にスクランブル待機についています。
要員は、ヘリコプター操縦士のほかに、現場の様子を実況するナレーター、カメラを操作するカメラマン、各種の調整を担う組長からなる空中伝送班が乗り込む形を採っています。
運用は、「撮影機」1機と、「中継機」1機の2機でペアを組む形が基本で、現在はデジタルハイビジョンでの撮影・送信が可能な装置に更新されたことで、導入当初のアナログカメラと比べて格段にクリアな映像での情報収集が可能になっています。
しかし、前出したように現用の「ヘリコプター映像伝送装置」は、映像データの送信を、地上に配置された受信装置を中継する形をとっています。このようなやり方では、遠隔地や山間部などでは地上で受信しにくいという難点があったことから、通信衛星を介して映像データを送信できる新型「回転翼衛星映像伝送システム」の調達が始まっています。
なお、独自の全国通信網を有しない消防庁・防災航空隊の消防防災ヘリコプターや、国土交通省の災害対策用ヘリコプターなどは、すでに衛星を用いて映像データを送信できる「ヘリサット」を導入済みです。
大規模災害も戦争と同様、いかに被災地の情報を確保できるかで、初動が決まります。新たな「回転翼衛星映像伝送システム」は、既存のUH-1Jヘリコプターよりも夜間や悪天候などに強いUH-60JAヘリコプターや、最新鋭のUH-2ヘリコプターなどにも積めるようになるため、発災時の初動対応のより一層の向上が期待できるといえるでしょう。
【了】
※誤字を修正しました(3月7日8時59分)。
Writer: 柘植優介(乗りものライター)
子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。
コメント