型破り? レーサーが作った「前2輪」のEV原付 入魂のサスペンションで別次元の乗り味

緊急事態宣言中に自宅で設計

 発端は2020年のゴールデンウィーク頃。新型コロナの緊急事態宣言で休業を余儀なくされていた井原さんは、地元である愛知県春日井市の商店街で「怖くて電車・バスに乗れない」「お客が来ず売上が立たない」「でもデリバリーなんてできない」といった声を聞き、何とかできないかと、自宅で「GOGO!」の原型を設計したそう。

 夏には車体が完成し、自身が三重県の政策アドバイザーを務める縁から10月に伊勢志摩地域で実証実験、この頃に株式会社Futureを設立しています。

 12月には岐阜県恵那市でもイベント会場と最寄り駅などを結ぶ足として実証実験が行われ、2021年1月からは地元の愛知県春日井市で、「地域ECモール構築事業」として、地元の人が地元の店で日用品や飲食物をネット注文できる「かすがいGOGO!」でデリバリーの足として採用されています。ちなみに「かすがいGOGO!」のアプリも井原さんらが開発したといいます。

 これまでに、地域の街づくり事業者が実証実験用として、あるいはショッピングエリアやリゾート施設の足などとして、計100台ほどを販売しているそうです。現在は三重県鈴鹿市の工場において月産100台程度で生産可能とのことですが、さらに工業用ロボットなどを導入し効率化を図る構えです。

「昭和の時代は、乗りものは『遠くに早く行く』ことが重視されていましたが、いまは『近所で移動する』ことの価値が高くなっています。ゆっくりでも、オーバースペックにならないものをつくりました」(井原さん)

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カラーバリエーションも豊富(中島洋平撮影)。

 ちなみに資金はどうしているのかと井原さんに訪ねたところ、最初はみんなでお金を出し合って車体をつくり、会社を設立したそう。こうした電動モビリティのスタートアップ企業は、クラウドファンディングなどを通じて資金を集めるとともに、話題性も獲得するケースがありますが、Futureの場合は「2020年12月に、エンジェル投資家のご支援をいただき増資しました」とのことです。

【了】

【ギャラリー】足回りに凝りまくったスクーター 試乗の様子

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コメント

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1件のコメント

  1. 値段はまあまあですね。しかし果たしてこれは売れるカタチだろうか…