日本の航空会社、なぜここまで激増? 一強→三強 そして群雄割拠になった歴史

規制緩和後はどうなった? 増える航空会社 でも開設までは大変

 このことで、規制緩和の直前に運航を開始していたスカイマークやAIRDO(旧社名は北海道国際航空)をはじめ、スターフライヤーやスカイネットアジア航空(現ソラシドエア)など、後進の航空会社が次々に誕生しました。2012(平成24)年からは、ピーチ・アビエーション、ジェットスター・ジャパン、エアアジア・ジャパン(初代)といったLCC(格安航空会社)が運航をスタート。関西空港の開港、中部空港の新設、羽田空港の発着枠増加、成田空港にLCC専用ターミナル設置などの理由により、2021年現在では、幹線航空路を新規航空会社が運航可能になっています。国内航空会社のバリエーションは、年を追うごとに広がりつつあったのが現状です。

Large 211409 25 03

拡大画像

2020年に運航開始した「ZIPAIR」。JALグループで、機体は元JALのものを使用している(乗りものニュース編集部撮影)。

 なお、アメリカでは航空規制緩和法、通称デ・レギュレイション法が1978(昭和53)年に可決され、民間航空の自由化への門戸が開かれましたが、2000年以降の日本でも同じ状況となりました。

 ちなみに、航空会社は、設立してからすぐに旅客便を運航できるわけではありません。まずシップ(機体)がなければ飛ばせませんので、どこかで調達する必要があります。旅客機メーカーから買うか、機体リース会社からレンタルする、中古機を購入する、既存の航空会社から運航経費込みで貸してもらうといった方法がありますが、いずれにしても、納入までに経費と時間がかかります。

 また、パイロットやCA(客室乗務員)はもちろん、整備士、地上係員などを雇用し、訓練しなければならず、経費、時間の両面でも、運航開始までに要するコストは莫大です。施設的にも、本社機能だけでなく、空港対応設備や、整備施設、訓練施設など様々な準備が必要となります。

 かつて大手3社ばかりだった羽田空港は現在、様々な国内航空会社が就航しており、我々の目を楽しませてくれます。ただ、その影には各社それぞれの、まさに血のにじむような努力があります。新型コロナウイルス感染拡大によって航空業界は苦境に立たされていますが、航空関係企業には、ぜひ「がんばれ」と強くエールを送ってあげたいものです。

【了】

【一覧表】多い!2020年夏季時点の国内航空会社25社

Writer: 種山雅夫(元航空科学博物館展示部長 学芸員)

成田空港隣の航空科学博物館元学芸員。日本初の「航空関係専門学芸員」として同館の開設準備を主導したほか、「アンリ・ファルマン複葉機」の制作も参加。同館の設立財団理事長が開講した日本大学 航空宇宙工学科卒で、航空ジャーナリスト協会の在籍歴もある。

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

6件のコメント

  1. 配信を停止したい

    • 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
      乗りものニュース編集部です。
      プッシュ通知の解除につきましては、以下のリンク先を参照のうえ
      解除いただけますようお願い申し上げます。
      https://trafficnews.jp/contact/new

  2. 色んなエアラインに等しく頑張れと告げるのは実際に乗ってあげることだと思うが、就航地の面からなかなか難しい。かつて結構狙って乗ったものだが主なところではFDA、天草、スターフライヤーを未利用だ。中でもSFは親戚が北九州市に住んでいるのだが安くならない上、トータルの所要時間では福岡空港利用に負けるのだ。

  3. > 民間航空会社は、国営の大日本航空1社しか存在しませんでした。
    って「ん?」って感じなんだけど、民間なのに国営ってどういうことなんだろう。

    • Civil Aviationを直訳したんでしょうかね
      軍事or民間の民間という意味ですから、単に「航空会社」としたほうが素直だと思うのですが

    • なるほど、「公営or民間」ではなく「軍事or民間」!
      和訳の件まで分かりやすい解説でスッキリしました。ありがとうございました。