空港なくても「着水」で 水上飛行機の旅客路線はなぜ消えた? 空から優雅に温泉旅行の時代

四方を広い海に囲まれた日本。「水上飛行機ならどこでも行き来できるのでは?」と夢をふくらませたくなります。海上自衛隊では洋上の救難任務に国産のUS-2飛行艇を活用していますが、かつては民間の定期旅客路線も盛況でした。

瀬戸内海路線を開拓 ビジネス需要も取り込み躍進

 これに味をしめたのかわかりませんが、日東航空は1957(昭和32)年に大阪~徳島線、1959(昭和34)年には大阪~新居浜(愛媛県)線と、瀬戸内海へ次々に水上飛行機の路線を開設していきます。

 なお徳島や新居浜は、ともに大企業の工場が居並ぶ土地柄であるため、白浜線とは異なりビジネス客が多くを占めました。

 しかも、同社は勢いに乗って機材の増強も行います。まず1958(昭和33)年に、デ・ハビランド・カナダDHC-3「オッター」1機を購入。「オッター」はカナダ製の11人乗り単発プロペラ水上機で、脚には大きなフロート(浮舟)を着けていました。ちなみに日東航空は、「オッター」では「墜ちたー」につながり縁起が悪いという理由から、あえて「アッター」と呼んだそうです。

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日東航空が用いたG-73「マラード」。マラードとは真鴨のこと(画像:JAL)。

 1959(昭和34)年にはグラマンG-73「マラード」も導入しています。「マラード」はアメリカ製の10~12人乗り、双発プロペラの水陸両用飛行艇です。日東航空では4年かけてアメリカの中古機市場で5機調達し、同社の主力旅客機として運用しました。

 日東航空は、ほかにも補助機材として5人もしくは6人乗りの双発プロペラ飛行艇マッキノン「スーパーウィジョン」を1機購入しており、合計で8機もの水上飛行機を持つ異色のエアラインとなりました。なお、この頃、大阪の拠点を堺から大阪国際空港(伊丹)へ移しています。

 そして好景気とレジャーブームの後押しを受け、日東航空はさらに路線網を広げます。

 人気の大阪~白浜線を、串本~志摩経由で名古屋(現在の県営名古屋空港)まで延長して“紀伊半島一周線”を開設。これに刺激を受けたのか、ヘリコプター事業で有名な中日本航空がグラマンG-21A「グース」飛行艇で名古屋~串本路線へ参入したほどなので、いかに当時の水上機路線が人気を集めたのかがうかがえます。

【写真】自衛隊が運用していた国産のPS-1対潜飛行艇

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コメント

2件のコメント

  1. 水上機を運行するには、離着水する海面が流木などがないようクリアーに保つ必要があるそうで、この辺りも水上機・飛行艇の民間での運行が廃れた理由でしょう。

    瀬戸内は大変残念です。

    一度乗ってみたかった。

    某作家は安全性が高くないと思われるからゴメンだと書いてましたが。

    私信:次の同人誌を楽しみにしております。

  2. 大阪~新居浜なんてどこに需要があったの?と思われる人も今では多いだろうな。

    新居浜:住友財閥のお膝元で住友企業の工場多数。

    大阪:(今ではだいぶ整理はされたけど)住友の都会での拠点。

    だから住友のおエライサンか住友と取引のあるおエライサンがお得意様だったんだろうな。

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