大型艦になぜ…フランス海軍の強襲揚陸艦「トネール」に見られる特徴と納得の理由

ミストラル級が装備する軍艦としては珍しいモノ

 ミストラル級は、この種の大型軍艦としては珍しいある装備を有しています。それが「アジマススラスター」です。

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「トネール」の飛行甲板(画像:アメリカ海兵隊)。

 普通の軍艦の場合、艦を推進させるためには機関部から伸びるシャフトを通じて艦尾にある固定式のスクリューを回転させ、さらに舵を使って方向転換を行います。それに対して、アジマススラスターは艦尾に装備されたポッドの中にモーターとスクリューが収められており、このポッドが水平方向に360度回転することで艦の推進をコントロールすることができるのです。

 この「アジマススラスター」、たとえば港で大型船の出入りを補助するタグボートなどではごく一般的に見られ、さほど珍しいものではありません。しかしこの種の軍艦では、ミストラル級、スペインの「ファン・カルロス1世」、そしてその準同型艦であるオーストラリアのキャンベラ級など、その装備例はわずかです。

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「トネール」へ着艦する「オスプレイ」(画像:アメリカ海兵隊)。

 さらに、ミストラル級は進行方向に対して横向きの推進力を与える「バウスラスター」を艦前方部に装備しています。これらの、軍艦としては特殊な装備を搭載しているため、「ミストラル」級はその大きな船体にも関わらず港での出入港をスムーズに行うことができるのはもちろん、艦の速度を一定に保つことで輸送艇の収容や発進を容易に行うことができたり、ヘリコプターの発着艦に際して最適な風向きを確保できるように艦の向きを細かく調整することができたりするのです。

【写真】船同士でビタ付け可能 「トネール」のウェルドック

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コメント

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1件のコメント

  1. 列車のミストラル(季節風の名で、堀内孝雄の歌にも出てくる)は見れなかったな…牽引機関車単体には会えたけど… 

    それだけではなんなので…シュルクーフは19世紀初期の有名な体制側の海賊の名前だとか…