コロナで大打撃の高速バス「通勤」に商機 “座れる列車激戦区”八王子~新宿に切込む

乗り換え必要な地域から新宿へ直行 ルートの妙

 試乗会では、朝に新宿へ向かう上り便のルートを実際に走行しました。

 始発の「横川」は、朝4時39分発。八王子駅から西へバスで20分ほどのところで、周辺には団地があります。やがてバスは八王子駅入口交差点を駅とは反対方向の北へ向かい、浅川を渡って「八日町4丁目」「大和田団地下」に停車。いずれも住宅街や団地に近く、新型コロナ前は八王子駅までのバス定期券を持つ人も多かったといいます。

 この先で停車する「北八王子駅入口」「ケンウッド前」「宇津木台南」は、JR八高線の北八王子駅や小宮駅を利用する人が多く、そこからの転換も見込まれるとのこと。

 さらに多摩大橋を渡り、日野市内の「東光寺団地入口」に停車したのち、「日野駅」が最終の乗車地です。その後は国立府中ICから中央道へ入り、新宿駅には6時48分に到着します。朝早い時間設定は、中央道の渋滞を考慮した定時性確保のためだとか。

 このルート選定にあたっては、携帯電話の位置情報データをもとに、営業エリアのなかで新宿へ向かっている人が多い地域を調査したうえで設定したといいます。また日野駅については、八王子駅や隣の豊田駅と異なり始発列車がなく、座っての通勤が難しい点に着目したそうです。

 なお、車両については専用車ではなく、試乗会では運休中の八王子~成田空港線車両のものが使われました。今後は、新宿~富士五湖線の車両などと共通で運用していくということです。

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新宿駅の乗降場所は西口26番乗り場(2021年5月25日、中島洋平撮影)。

 新型コロナの感染拡大により、高速バスは大きな打撃を受けています。西東京バスも同様で、長距離の夜行バス、羽田・成田両空港の連絡バスも、利用者数はおよそ9割減の状態だといいます。

 そうしたなか、たとえば兵庫県の神姫バスが姫路~三宮間で同様に「姫路駅を経由しない通勤高速バス」を新設するなど、通勤の需要に商機を見出す動きもあります。西東京バスもまた、今後の需要を見て増便も検討するそうです。

【了】

【八王子駅スルー!】通勤ライナー時刻表/ルート/現地の様子

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コメント

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1件のコメント

  1. 高速バスが乗客がほとんどいないからといって、人手不足が伝えられる路線バスに乗務員を異動させられるかというと、なかなか難しいのでしょうね。路線バスは停留所が多く、運賃収受やICカードのトラブル対応があり、接客も多い。給料のわりに過重な労働なのかも?