英露がクリミア沖での軍艦の通航めぐり応酬 警告射撃に示威飛行…非はどちらに?

事件の核心は「クリミア半島」の扱い

 そもそも、今回「ディフェンダー」が航行していた海域はクリミア半島の沖合ですが、このクリミア半島は本来ウクライナの領土でした。ところが2014(平成26)年、ロシアによる軍事介入を経て成立した、このクリミア半島を領域とする「クリミア共和国」がウクライナからの一方的な独立を宣言し、その後このクリミア共和国がロシアに編入されたため、ロシアはクリミア半島を自国領土の一部であると主張しています。従って、クリミア半島の沖合は自国の領海であり、ロシアにとってみれば「ディフェンダー」は自国領海内を航行していたと整理されるわけです。

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今回の事件の舞台とみられる海域(国土地理院の地図を加工)。

 ところが、一方のイギリスは全く異なる整理をしています。イギリス国防省によると、事件当時「ディフェンダー」は「ウクライナの領海内を無害通航していた」というのです。これは、そもそもクリミア共和国のウクライナからの独立、そしてそのロシアへの併合が国際法違反であり、従ってクリミア半島は現在でもウクライナの領土であるという整理に基づくものです。

 ちなみに、このような整理はイギリス独自のものではなく、世界主要国の共通の整理です。そのためイギリスにしてみれば、今回「ディフェンダー」が航行していたのはロシアではなくウクライナの領海内ということになるわけです。

【画像】ロシア国防省が公開した「ディフェンダー」への一連の対応の様子

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