デカくなりすぎ? 米陸軍のアイコン「ハンヴィー」ではなく軽量4WD「ISV」新採用のワケ

アメリカ陸軍が2020年に採用した新型の汎用4輪駆動車が第一線部隊に納入され、実用試験を開始しました。既存のハンヴィーとほぼ変わらないような新車種、なぜ採用したのでしょう。そこには試行錯誤の四半世紀がありました。

後釜になれなかったハンヴィーの後継

 ハンヴィーは、そもそもソフトスキン(無装甲)の支援用車両として開発されたため、最初から装甲車として設計開発された車両と比べると発展性に限界がありました。加えて、基本的には1980年代初頭の設計のままだったため、特にエンジンについては排ガス規制などから古さが目立つようになっていました。

 アメリカ陸軍もハンヴィーの旧式化と防御力の限界については認識しており、2010年頃にはJLTV(Joint Light Tactical Vehicle:統合軽戦術車両)と呼ばれる後継車種の開発・選定に着手しています。

 しかし、ハンヴィーの防御力が低い点を鑑みて、JLTVでは高い防御力、乗員の生存性に重点を置いた結果、極力コンパクトにしたとはいえ、車両重量は約4.7tもあり、ボディサイズもハンヴィーより一回り以上大きくなりました。それでいて乗員数は4名のみで、空輸などを含めて汎用性という面では、ハンヴィーを全面的に置き換えられる車両ではなかったといえるでしょう。

Large 20210708 01
ハンヴィーの後継として選定されたJLTV(オシュコシュ製L-ATV)だが、結局すべてのハンヴィーを同車種で更新することは取り止めとなった(画像:アメリカ陸軍)。

 その結果、当初はハンヴィーの後継として開発されたJLTVでしたが、国防総省・アメリカ陸軍とも、のちにすべてのハンヴィーをJLTVで更新することは諦めています。

 こうして、空輸可能な軽量汎用車両として改めてトライアルが実施され、2020年に採用されたのがISVというわけです。

 ハンヴィーは、派生型や改良型など含め、総生産数は約30万台、敵対勢力による鹵獲再使用を含め世界50か国以上で使用されるまでに至っています。

 また似たような外観・性能の車両がロシアや中国、フランス、日本をはじめとして世界中で開発生産されており、軍用4WD車における事実上の世界標準(グローバルスタンダード)になったとの見方もあります。

 ゆえに、その後継となるとなかなか難しく、最大のユーザーであるアメリカ陸軍ですら難儀していると言えるのかもしれません。

【了】

【3.2.1.Go!】輸送機からパラシュート投下されるISV

Writer:

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

最新記事

コメント

1件のコメント

  1. ハンヴィーの装甲を外してエンジン交換で済む話だったかもなあ

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  3. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  4. ロシアのミサイル部品工場が「大炎上」 ウクライナ軍の航空機から発射した巡航ミサイルが「直撃」か
  5. ウクライナ軍の「1000機の無人機」がモスクワの製油所を襲撃!“タンクが吹き飛ぶ瞬間”を捉えた映像を大統領が公開 今後の影響は?
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号