デカくなりすぎ? 米陸軍のアイコン「ハンヴィー」ではなく軽量4WD「ISV」新採用のワケ

後釜になれなかったハンヴィーの後継

 ハンヴィーは、そもそもソフトスキン(無装甲)の支援用車両として開発されたため、最初から装甲車として設計開発された車両と比べると発展性に限界がありました。加えて、基本的には1980年代初頭の設計のままだったため、特にエンジンについては排ガス規制などから古さが目立つようになっていました。

 アメリカ陸軍もハンヴィーの旧式化と防御力の限界については認識しており、2010年頃にはJLTV(Joint Light Tactical Vehicle:統合軽戦術車両)と呼ばれる後継車種の開発・選定に着手しています。

 しかし、ハンヴィーの防御力が低い点を鑑みて、JLTVでは高い防御力、乗員の生存性に重点を置いた結果、極力コンパクトにしたとはいえ、車両重量は約4.7tもあり、ボディサイズもハンヴィーより一回り以上大きくなりました。それでいて乗員数は4名のみで、空輸などを含めて汎用性という面では、ハンヴィーを全面的に置き換えられる車両ではなかったといえるでしょう。

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ハンヴィーの後継として選定されたJLTV(オシュコシュ製L-ATV)だが、結局すべてのハンヴィーを同車種で更新することは取り止めとなった(画像:アメリカ陸軍)。

 その結果、当初はハンヴィーの後継として開発されたJLTVでしたが、国防総省・アメリカ陸軍とも、のちにすべてのハンヴィーをJLTVで更新することは諦めています。

 こうして、空輸可能な軽量汎用車両として改めてトライアルが実施され、2020年に採用されたのがISVというわけです。

 ハンヴィーは、派生型や改良型など含め、総生産数は約30万台、敵対勢力による鹵獲再使用を含め世界50か国以上で使用されるまでに至っています。

 また似たような外観・性能の車両がロシアや中国、フランス、日本をはじめとして世界中で開発生産されており、軍用4WD車における事実上の世界標準(グローバルスタンダード)になったとの見方もあります。

 ゆえに、その後継となるとなかなか難しく、最大のユーザーであるアメリカ陸軍ですら難儀していると言えるのかもしれません。

【了】

【3.2.1.Go!】輸送機からパラシュート投下されるISV

Writer: 柘植優介(乗りものライター)

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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コメント

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1件のコメント

  1. ハンヴィーの装甲を外してエンジン交換で済む話だったかもなあ