戦車はもう不要なの? 台頭する無人兵器 英は生産終了…「陸戦の王者」今後のあり方は
戦車はその誕生以来、常に「対抗手段」と共にあったといえるでしょう。対戦車ミサイルなどの対抗手段が登場するたび戦車不要論は囁かれてきました。無人兵器の台頭で改めて不要論が浮上する昨今、いよいよその命脈は尽きるのでしょうか。
ドローンの時代に戦車は時代遅れ?
映画やアニメでは、戦車はどちらかというと「悪役」で「やられ役」のほうが多いようです。現実でもミサイルや無人航空機(いわゆるドローン)の発達により、ボタンひとつで破壊されるようなありさまの戦車は時代遅れで、もう要らないという意見も聞かれます。
2020年9月27日から11月9日にかけて発生した、アゼルバイジャンとアルメニアの国境紛争であるナゴルノ・カラバフ紛争は、ドローンが多く使われ、SNSを利用した宣伝戦も盛んだったのが特徴的です。
モニター内に四角のマーカーで囲まれた戦車の映像が映しだされ、次の瞬間、戦車は爆炎に包まれます。ドローンから発射された対戦車ミサイルが、戦車に命中した瞬間です。このような映像が多くSNSへ投稿されたので、戦車は地上を這って逃げ回るだけの単なる標的になり下がり、やはり要らないものだ、と広く印象づけました。
戦車は「陸戦の王者」といわれますが、王者だけにライバルや強敵も多いものです。王者の座は、もう過去のものになったのでしょうか。
たとえば戦車の発明国であるイギリスは、2009(平成21)年に戦車製造ラインを停止し、事実上、戦車生産を放棄しました。予算の制約で戦車の新車受注を見込めなくなったメーカーの経営的な判断によるもので、企業は利益を上げるのが最優先課題ですので、戦車製造が儲からないのであれば止めてしまうのは当然のことです。
もっとも、これは戦車不要論に基づくものではなく、イギリス国防委員会は議会に対し「戦車を無くすことはあり得ない」という旨の答申をしています。とはいえ国内の製造ラインはもうありませんし、将来、戦車の更新をどうするのか方針も決まっていません。
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