名鉄の珍景「線路を横断する河川ゲート」見納めへ? 名古屋本線・呼続駅 洪水時は閉鎖

名鉄名古屋本線の山崎川に架かる橋は、洪水時にゲートで線路が封鎖される構造になっています。全国的にも珍しいこの風景が、橋の改築によって消える見込みとなっています。

堤防を突き抜ける鉄道橋

 名古屋市南区にある名鉄名古屋本線の呼続(よびつぎ)駅の北側には、二級河川の山崎川が流れており、横断する名鉄の鉄橋(山崎川橋梁)が架かっています。

 この鉄橋の前後には水門ならぬ陸閘門(りくこうもん)が設置されており、線路を遮断できる構造になっています。現場を見ると一目瞭然ですが、堤防を切り欠いて鉄道が通り抜ける形なので、川の増水時などはこの切り欠きから氾濫が起きないよう、閘門で閉じる必要があるのです。

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名鉄名古屋本線・呼続駅前にある、線路を横断する陸閘門(乗りものニュース編集部撮影)。

 水害を防ぐために線路を完全封鎖する装置は、東京メトロなど地下鉄でも設置されています。しかし、地上にあるケースは全国的にも珍しく、線路を横断するように陸閘門のレールが延びる様子はここならではの鉄道風景となっています。

 この陸閘門が、近いうちに姿を消すことになりそうです。山崎川を管理する名古屋市が行う浸水対策事業の一環で、河床掘削や雨水流出抑制施設の整備とあわせ、名鉄のこの橋梁の改築も挙げられているのです。橋脚や橋桁による流水阻害や、陸閘門の使用による鉄道運休への対策が目的となっています。

 名鉄の山崎川橋梁は1917(大正6)年3月に完成。堤防のかさ上げが行われたあとも鉄道橋はそのまま残り、1964(昭和39)年に氾濫対策として陸閘門が設置されました。この陸閘門が封鎖されたのは、1990(平成2)年から2018(平成30)年までに16回もあったとのことです。

 なお名古屋市は桜駅~本星崎駅間で名鉄名古屋本線の立体交差化事業を進めており、山崎川橋梁についても将来的に高架化される計画です。しかし河川整備計画に基づく洪水対策が喫緊の課題になっているため、高架化に先駆けて、山崎川橋梁はまず改築という形が取られます。

 橋梁改築工事が盛り込まれた名古屋市の「第二期山崎川流域浸水対策推進プラン」の計画期間は2020年~2033年となっており、まだ具体的な工事スケジュールや改築内容は明らかになっていません。しかし、洪水流の阻害を防ぐため、橋桁は計画水位よりも高い位置になり、橋脚の本数も最低限となることが想定されます。

【了】

【災害時は完全封鎖!線路を横断する門のレール】

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コメント

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2件のコメント

  1. その前後は6mの高さがある荒川の堤防が京成本線の部分だけ3.6mしかなく、ようやく改良の予算がついたと聞きましたが、首都高なども先にできているので、もしかしたらこういう閘門を設置するかもしれませんね。

  2. 閉じた写真資料がないなら
    【災害時は完全封鎖!線路を横断する門のレール】
    という見出しはやめたほうがいいと思いますし、スクープでも無いので、名鉄なり名古屋市なりに訓練等で閉門している資料写真の提供を受ければよかったのにと残念でなりません。