英軍「インド太平洋に哨戒艦を恒久配置」の本気度 将来派遣の沿岸即応部隊との違いは? 課題も
すでに編成済みのLRG(North)の規模とは
北大西洋に展開する沿岸即応部隊は「Littoral Response Group(North)」と呼ばれ、ドック型揚陸艦「アルビオン」、補助揚陸艦「マウントベイ」、フリゲート艦「ランカスター」、そして「ワイルドキャット」艦載ヘリコプターで編成されています。
人員は艦船乗組員、イギリス海兵隊兵士、ヘリコプター操縦士など計1000人以上で、彼らはノルウェーでの多国間演習や、バルト海で行われたNATO演習「バルトプス」に参加しています。
イギリス国防省が発表した防衛レビューでは、最終的には、英本土にほど近いヨーロッパ周辺海域と、スエズ運河以東のエリアに、それぞれLRGを恒久配置するとしています。よって冒頭に記した、ウォレス国防相が述べた数年後に派遣予定の沿岸即応部隊(LRG)というのは、後者のものを指すことになると考えられます。
ただ、イギリス海軍が発表した哨戒艦「タマール」と「スぺイ」のインド太平洋地域への常駐展開はこれとは別のようです。
スエズ運河以東エリアに恒久配置されるLRGのなかに最終的には組み込まれるかもしれないものの、規模としては哨戒艦2隻では収容できる海兵隊兵士は合わせて100名程度であり、なおかつ「タマール」と「スぺイ」はヘリコプターの発着甲板こそあっても格納庫がないため、長期間にわたる航空機運用は難しいという課題を含んでいます。そのため、2隻の哨戒艦のみで構成されるLRGという可能性は低いでしょう。
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